5. 枠を超えた分は、どこへ行くのか
第5項第6号が受け入れを断った分は、非課税口座の外で買うことになります。
5.1 行き先は課税口座
条文の側では、枠を超えた上場株式等は「受け入れないもの」として除かれているだけで、非課税の対象外として受け入れるとは書かれていません。口座に入らない以上、別の口座で買うことになります。
LIMOの記事「新NISAと特定口座はどう使い分ける?枠を使い切った後の追加投資、含み益がある商品を買い直すタイミング、特定口座は本当に必要かを一次資料と編集部試算で整理する」から引用します。
この上限を使い切った後にさらに投資をする場合、追加分を非課税で購入することはできません。注文時に特定口座や一般口座といった課税口座を自分で選んで取引する必要があり、枠を自動で増やす方法はありません。
出所:LIMO「新NISAと特定口座はどう使い分ける?枠を使い切った後の追加投資、含み益がある商品を買い直すタイミング、特定口座は本当に必要かを一次資料と編集部試算で整理する」
5.2 旧制度の期限が来た分は課税口座に移る
第1項第1号と第2号が5年・20年という期限を置いているのは、旧制度の勘定だけです。特定累積投資勘定と特定非課税管理勘定には期限がないので、非課税口座から出ていくのは旧制度で買った分ということになります。
その受け皿がどこになるかを、日本証券業協会が説明しています。
非課税保有期間終了時に特定口座をお持ちの方は、特段の手続をすることなく、旧NISAで保有する上場株式等が特定口座に移されます。特定口座をお持ちの方で、一般口座へ移すことを希望される場合には証券会社に所定の依頼書をご提出ください。なお、特定口座に移す場合は、同一年分の非課税枠に係る同一銘柄の上場株式等は、その全てを特定口座に移さなければなりません。特定口座をお持ちでない場合は、特段の手続をすることなく、一般口座に移されます。
特定口座を持っていれば何もしなくても特定口座へ、持っていなければ何もしなくても一般口座へ。どちらに落ちるかが、口座を作ってあるかどうかだけで決まります。
5.3 一般口座に出ると、自分で計算する
では、一般口座に出ると何が変わるのでしょうか。
LIMOの記事「新NISAと特定口座はどう使い分ける?枠を使い切った後の追加投資、含み益がある商品を買い直すタイミング、特定口座は本当に必要かを一次資料と編集部試算で整理する」から引用します。
一般口座には特定口座のような年間取引報告書がありません。譲渡損益の計算や確定申告を、原則すべて自分で行う必要があります。
出所:LIMO「新NISAと特定口座はどう使い分ける?枠を使い切った後の追加投資、含み益がある商品を買い直すタイミング、特定口座は本当に必要かを一次資料と編集部試算で整理する」
このとき使う取得価額は、第4項が定める払出し時の金額です。日本証券業協会も、課税口座に移す場合は非課税保有期間が終了した時点の時価が取得価額になると注記しています。買ったときの値段ではないので、払い出しの通知は捨てずに残しておくことになります。
6. まとめにかえて
新NISAの非課税は、譲渡益が租税特別措置法第37条の14第1項、配当等が第9条の8という別々の条文に置かれています。配当については株式数比例配分方式を選んでいることが前提なので、口座の設定も確かめておきたいところです。
口座を開けるのは、その年1月1日において18歳以上である人です。年間の枠は取得対価の額で120万円と240万円、生涯の枠は基準額との合計で1200万円と1800万円です。1200万円は成長投資枠だけ、1800万円は両枠の合計で数えます。
特定累積投資勘定と特定非課税管理勘定には、譲渡できる期間の定めがありません。損失は第2項によりないものとみなされ、贈与や相続で払い出された分は第4項により払出し時の金額が取得価額になります。積立を10年続けると住所等の確認が来るので、証券会社からの通知は開けて確かめてみてください。
参考資料
- e-Gov法令検索「租税特別措置法」
- 金融庁「NISAを知る」
- 国税庁「No.1535 NISA制度」
- 日本証券業協会「NISAのよくある質問」
- LIMO「新NISAと特定口座はどう使い分ける?枠を使い切った後の追加投資、含み益がある商品を買い直すタイミング、特定口座は本当に必要かを一次資料と編集部試算で整理する」
中本 智恵