4. 転売対策だけじゃない。メルカリが進める新たな方針

今回の措置は、単なる転売対策ではありません。

株式会社メルカリは「安全であること(Safe)」「信頼できること(Trustworthy)」「人道的であること(Humane)」を柱とする「マーケットプレイスの基本原則」を掲げています。

さらに2025年には、マーケットプレイス内の「安心・安全」が著しく損なわれる可能性がある商品について、出品禁止などを含む対応を行う方針を策定しました。対象は、既存の禁止ルールに該当する商品だけではありません。

同社のホワイトペーパーでは、従来は出品可否を主に「違法か適法か」という観点で判断していたものの、適法な取引でもマーケットプレイス全体に大きな問題を生じさせるケースがあることから、別の判断軸が必要になったと説明しています。

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出所:株式会社メルカリ

出所:株式会社メルカリ

今回のポケカ対応は、こうした考え方を具体的な商品に適用したものとみられます。

人気商品の発売直後に価格が急騰したり、取引トラブルや誹謗中傷が増えたりすれば、個々の取引だけでなく、マーケットプレイス全体の利用環境にも影響します。

そこで問題が発生してから個別に対応するのではなく、混乱が予想される商品について、あらかじめ出品を制限する仕組みを取り入れています。

5. ポケカでは以前から「発売直後の価格高騰」が課題に

ポケモンカードをめぐる二次流通の問題は、今回が初めてではありません。

株式会社ポケモンは2023年、強化拡張パック「ポケモンカード151」の発売に際して、転売など営利を目的とした商品購入を控えるよう呼びかけました。

同社は、発売直後にメルカリなどのフリマアプリで出品価格が一時的に急騰する可能性があるとして、希望小売価格や商品の内容を確認したうえで、冷静に行動するよう注意喚起しています。

さらに、偽造品や「オリパ」、サーチ済みパックなどについても注意を呼びかけ、主要なフリマアプリ運営会社との取り組みを通じて安心・安全な取引環境の構築を進めると説明していました。

今回の「30th CELEBRATION」は、30周年という大きな節目の商品です。

発売前からポケモンセンターオンラインで抽選販売が実施されているほか、商品の内容にもコレクション性の高いカードが含まれています。

メルカリが発売日を迎える前から出品禁止を決めたのは、こうした商品特性や過去の状況を踏まえ、発売直後の混乱を先回りして抑える狙いがあると考えられます。

6. トレンドウォッチャーのひとこと

大蔵 大輔

今回のメルカリの対応から見えてくるのは、転売問題の難しさです。人気商品が発売されれば、欲しい人が多いほど二次流通市場も生まれます。フリマサービスにとっては、それ自体が取引の需要でもあります。

一方、発売直後に価格が大きく動けば、購入者とのトラブルや出品者への誹謗中傷など、取引価格だけでは測れない問題も起こります。

メルカリは今回、問題が発生してから個別の出品を削除するのではなく、発売直後から対象商品の出品そのものを止めました。自由な売買の場を維持しながら、過熱によって市場全体の信頼性が損なわれる局面では介入するという運営への転換ともいえます。

ただし、出品禁止にすれば転売問題そのものがなくなるわけではありません。他の二次流通サービスや個人間取引に需要が移る可能性もあります。

今後は「禁止するかどうか」だけでなく、どの段階で、どの商品を、どの程度の期間制限するのかという判断の透明性も重要になりそうです。今回のポケカ対応は、人気商品の過熱とプラットフォームの自由をどう両立するかを考える一つの事例になっています。

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参考資料

大蔵 大輔