3月期決算の企業にとって9月末は中間期(上期)の末日にあたり、配当や株主優待の権利が確定する基準日を9月30日に設定している銘柄も多くあります。
個人投資家のあいだでも、この時期は配当・優待をあわせて受け取れる銘柄への関心が高まりやすい季節です。そうした銘柄の代表格の1つが、国内線・国際線を運航するANAホールディングス<9202>です。
同社は7月29日に2027年3月期第1四半期(4-6月期)の決算を発表しており、稼ぎ頭であるどの事業がどの程度稼いでいるのか、最新の決算からひも解いていきます。
1. 決算のおさらい:増収も営業利益は43.5%減
2027年3月期第1四半期(2026年4月1日〜6月30日)の連結業績は、売上高6,727億円(前年同期比+22.6%)、営業利益207億円(同▲43.5%)、経常利益225億円(同▲37.3%)、四半期純利益194億円(同▲15.4%)となりました。
同社によれば、売上高は航空事業を中心に好調に推移し、第1四半期として過去最高の水準です。一方で、営業利益・経常利益・純利益はいずれも前年同期を下回っています。
1.1 ANAホールディングスの事業構成と稼ぎ頭
ANAホールディングスの事業は、航空事業・航空関連事業・旅行事業・商社事業・その他の5つで構成されています。
このうち売上高が全体の9割超(約92%)を占める中核事業が航空事業で、同社の稼ぎ頭にあたります。
航空事業の売上高は6,208億円(前年同期比+24.9%)と大きく伸びました。
国際線旅客の利用率は前年同期比5.7ポイント上昇の85.1%、旅客数は14.3%増となり、訪日需要や日本発のレジャー需要の取り込みが増収に寄与しました。前年に連結子会社化した貨物専門会社NCAの収入も加わり、国際線貨物収入は583億円(同+37.9%)と伸びています。
一方で、燃油費・燃料税が869億円増加するなどコスト増加が利益を圧迫し、航空事業の営業利益は181億円(同▲48.7%)とほぼ半減しました。1Qの為替レートは実績159.2円/USDと、前年同期の145.2円/USDから9.6%円安が進行したほか、ドバイ原油も前年同期の68.0ドル/バレルから112.5ドル/バレルへ65.4%上昇しており、これらが燃油費増加の背景にあります。
そのほかのセグメントでは、航空関連事業が売上高926億円(同+7.4%)、営業利益49億円(同+54.3%)と増収増益。旅行事業は売上高139億円(同▲9.3%)とコストマネジメントの徹底により営業利益1億円(前年同期は営業損失2億円)で黒字転換しました。商社事業は売上高374億円(同+7.9%)と増収でしたが、人件費増加等により営業利益は10億円(同▲19.8%)で減益となっています。
1.2 通期見通し・配当は据え置き
通期の連結業績予想は、4月30日の公表から変更されていません。売上高2兆7,700億円(前期比+9.1%)、営業利益1,500億円(同▲31.0%)、経常利益1,370億円(同▲37.6%)、純利益960億円(同▲43.2%)の計画です。
配当については、前期(2026年3月期)の年65円から、今期は年60円(中間30円・期末30円)を予定しています。