筆者は都銀に15年ほど勤務した後、通算で約20年外資系等金融機関に勤務しました。その経験から判断すると、どんなに評判がよい会社でも、リストラは日常茶飯事に行われる人事の一貫であったいうことです。

私はどの勤務先でもそこそこの業績を上げていたため、リストラは「仕事がイマイチで運の悪い社員がターゲットになる」と信じて疑っていませんでした。もっとも、これは私がリストラをくらった際、リストラは仕事の達成レベルとは関係ないことだと痛感できたことですから、これからの日本ではリストラが普通になると断言できます。

1社あたりのリストラ人数が増えている

決して読者諸氏を脅かすわけではないのですが、東京商工リサーチの最新レポート「2019年 上場企業「希望・早期退職」実施状況」によれば、2019年1月〜9月に希望・早期退職者を募集した上場企業は27社に達し、対象人数は1万342人と6年ぶりに1万人を超えているとのことです。

日本の上場企業は約3700社ですから、これら27社は全体の0.7%に過ぎませ。しかしながら対象人数が1社当たり平均383人ですから、中小規模の上場会社の多くは消える規模の大リストラです。

図表1:主な上場企業のリストラ状況

出典:東京商工リサーチ 2019年10月9日レポート:2019年 上場企業「希望・早期退職」実施状況より。

図表1からは、日本の上場企業のリストラのパターンが見てとれます。世界的にも似通っているかもしれませんが、2002年にはITバブル崩壊の影響で約4万人がリストラされ、2009年にはリーマンショックの影響で約2万3000人がリストラされています。そして今回、消費税増税げショックか何かは定かではありませんが、じわじわとリストラが進んでいます。

確かに過去には既述の大規模なリストラがありました。ですが今回の顕著なのは、1社あたりのリストラ人数が増えていることです。2002年は1社当たり約198人、2009年は約120人、そして今回は約383人と2002年時と比べ約倍近くの社員がリストラ対象となっています。

上場企業でこうですから、非上場企業を含めればかなりの労働者がリストラに遭遇しているはずです。

経営者にとってリストラは諸刃の剣