さて、この状況をどう考えるかです。

経営者の観点で見てみましょう。日本は世界でもトップクラスの少子高齢化国家です。それをもって政府は70歳まで雇用延長をしようとしていますが、これは経営者にとって恐怖です。

なぜなら、高齢者にお給料を“払い続けなければならない”ということは、利益水準が一定だとすると全員で給料総額を割り振らないといけませんから、いきおい一人当たりの給料は下がります。それが嫌なら、誰かをリストラせざるしかありません。好みの問題ではありません。私も経営者なら、泣いて馬謖を斬るでしょう。

しかし、ここで問題があります。たとえリストラしたとしても、その企業が生き残れるかどうかは分からないということです。

リストラでは固定費(人件費)を減らせますから、業績上プラス要因になります。しかし、本業順調時にリストラしたとしても、これからの競争時代に食っていけるかどうかは全く未知数です。結局、リストラしたので人手不足で撤退・・・もあり得るわけで、いずれにせよ経営判断としては諸刃の剣ですね。

会社や人生におけるサバイバルスキルは?

では、リストラされた社員の立場で考えてみましょう。少なくとも被リストラ社員に罪はありません。あくまで会社都合です。ただし、こんな世の中ですから、どんな一流企業にいようとも、自分は常にリストラに遭う可能性があり将来給料がなくなることを前提に、就職した瞬間から日々の研鑽に努めるべきです。

月並みですが、そうした研鑽とは仕事の実績(勤務している業界で数字で出せるもの)、仕事外の実績(趣味の深さ、コミュニティの広がり)を徹底的に追求することです。私にはできませんでしたが、上司へのゴマすり技術もとても重要なサバイバルスキルです。給料の半分以上は、所属している会社への我慢料ですから、このあたりのサバイバル技術は身につけておいても間違いはありません。

加えて、若い頃から資産形成に抜かりなく対応してください。20代から月に2〜3万円きっちりつみたて貯蓄をしておけば、30代で5、600万円くらいのまとまった金額にはなります。節約すれば2年くらいは無職でも平気です。流石に20〜30代でいきなりリストラというのは確率としては少ないはずですから。

備えあれば憂いなし、です。

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太田 創(一般社団法人日本つみたて投資協会 代表理事)