今年も残り3カ月半となり、この時期は1年でどれくらい貯蓄がふえたかを、ふりかえりたくなります。そんなとき気になるのが、「同じ年代の人は、どれくらい貯めているのだろう」「わが家は、この年代でどのあたりにいるのだろう」ということではないでしょうか。
貯蓄は、年齢を重ねるにつれて、基本的にはゆっくりと積み上がっていきます。その積み上がり方を年代ごとに並べてみると、いわば「到達カーブ」のような形が見えてきて、4000万円という目標までの道のりも、ぐっとイメージしやすくなります。
この記事では、家計調査(2025年)の数字をたどりながら、二人以上の世帯の貯蓄が年代ごとにどう増えていくのかを確かめ、4000万円へ向けた年代別の積み上げ方を、いっしょに考えていきます。いまの自分の年代を起点にすると、次に何をすればよいかが見えてくるでしょう。
貯蓄は、ある年に一気に増えるものではなく、年代ごとに少しずつ積み上がっていくものです。その流れを知っておくと、いまの自分の位置が見えて、あせらずに構えられます。
まずは、二人以上の世帯の貯蓄が、年代とともにどう変わっていくのかを、いっしょにたどってみましょう。
1. 【年代別の平均貯蓄額】みんないくらか?貯蓄は年代でどう増える?──「到達カーブ」でみる
総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)2025年(令和7年)平均結果の概要(二人以上の世帯)」より二人以上の世帯の貯蓄現在高を世帯主の年代別にみると、40歳未満が994万円、40歳代が1381万円、50歳代が1756万円、60歳代が2843万円、70歳以上が2471万円となっています。若い時期から少しずつ増え、60歳代でもっとも大きくなる、という流れが見えてきます。
なお、これらは各年代の平均です。貯蓄の「真ん中」を示す貯蓄保有世帯の中央値は、二人以上の世帯全体で1264万円と、平均の2059万円より795万円低い水準でした。年代別の中央値は公表されていないので、ここに並ぶのは各年代の平均だということを頭に置いて読んでください。平均は貯蓄の多い世帯に引き上げられやすい数字です。
グラフにあるようにこの並びを一本の線でつなぐと、ゆるやかな山のような形になります。現役の前半はまだ小さく、年齢を重ねるにつれて大きくなって、60歳代で頂点を迎え、70歳以上では2471万円とやや小さくなります。これが、貯蓄の「到達カーブ」です。
ただし、この線は2025年の一時点で、年代ごとに別々の世帯を集計して並べたもので、同じ世帯を何十年も追いかけた記録ではありません。70歳以上が60歳代より少ないのも、「減った」のではなく、年代ごとの姿のちがいとしてみておくのが正確です。
もう一つ、あわせてみておきたいのが借入れの動きです。40歳未満の世帯では負債現在高が1882万円ともっとも多く、住宅ローンなどをかかえている時期にあたります。この負債は年齢とともに減っていき、貯蓄から負債を差し引いた「純貯蓄」でみると、60歳代が2609万円ともっとも多くなります。つまり、住宅ローンを返し終える時期と、貯蓄が積み上がる時期が重なって、60歳代でいちばん手元の余裕が大きくなる、という流れです。
最近では老後4000万円欲しいという方もいますが、その目標は平均の到達カーブでみると、どの年代でもぴったり届いてはいません。それでも、60歳代の2843万円という頂点は、そこへ着実に近づいている姿です。カーブはあくまで平均で、同じ年代でも4000万円を超える世帯もあれば、これからの世帯もあります。大切なのは、他の世帯と比べることではなく、自分がカーブのどのあたりにいて、これからどう積み上げていくかを知ることです。
また、このカーブは平均を結んだものなので、同じ年代でも位置は世帯によってさまざまです。早くから積み立ててきた世帯もあれば、住宅の購入や転職、子どもの学費など、大きなできごとで一度へこんでから持ち直す世帯もあります。
線の形そのものより、自分がいまどの時期にいて、次の年代で何ができるかに目を向けることが、いちばんの近道です。到達カーブはこれからの計画を立てるための地図として使うと、心強い味方になります。
数字の読み方をひとつ。ここでの貯蓄現在高は、家計調査で二人以上の世帯を世帯主の年代別に集計した平均です。預貯金だけでなく、生命保険や有価証券なども含んだ、蓄え全体をあらわしています。
年代別にみると、40歳未満の994万円から60歳代の2843万円まで、ゆるやかに積み上がっていきます。負債が減っていく時期でもあるので、純貯蓄は60歳代でいちばん大きくなります。次のページでは、この到達カーブを4つの時期に分けて、それぞれの年代で4000万円へ向けて何を意識すればよいのかを、いっしょに整理していきます。年代ごとに、力の入れどころは変わってきます。いまいる場所を出発点にして、次の一歩を、あわてず決めていきましょう。
