年金がいくら受け取れるかを知っても、それだけでは老後の家計が回るかどうかは分かりません。支出と並べてはじめて、足りるかどうかが見えてきます。

本記事では、年齢別の平均年金月額を一覧で確認したうえで、65歳以上の無職世帯が実際にひと月いくら受け取り、いくら使っているのかを夫婦世帯と単身世帯に分けて見ていきます。

神田 翔平
老後の家計を心配される方に最初にお見せするのが、この収支のデータです。赤字と聞くと不安になりますが、これは貯蓄を計画的に取り崩している姿でもあります。大切なのは、その取り崩しが何年もつのかという点です。実際にご自分の生活費と比較しながら見ていきましょう。

1. 2026年度「増額改定」年金額、夫婦のモデルケース「月額23.7万円」←4400円以上アップ

公的年金は、毎年物価や賃金の変動を反映して見直されています。2026年度(令和8年度)は、国民年金(基礎年金)が1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が2.0%の引上げとなりました。

令和8年度の年金額の例1/11

令和8年度の年金額の例

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」をもとにLIMO編集部作成

公表された年金額例を見ると、国民年金(老齢基礎年金)の満額は月額7万608円となっています。

また、厚生年金は、モデルケース「厚生年金を受け取る会社員の夫+国民年金を受け取る妻」の世帯の場合、月額23万7279円です。

※昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金の満額は月額7万408円(対前年度比+1300円)
※厚生年金は「男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)」で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準
※国民年金と厚生年金で改定率が分かれたのは、令和7年の年金制度改正により、厚生年金のマクロ経済スライドによる調整を当面緩和する措置が設けられたためです

2. 公的年金は国民年金と厚生年金の2階建て

日本の公的年金制度は、「国民年金」と「厚生年金」の二つの柱で成り立っており、「2階建て構造」といわれています。まずは、その全体像を確認しておきましょう。

公的年金の「2階建て構造」と被保険者の区分2/11

厚生年金と国民年金の仕組み

出所:厚生労働省「いっしょに検証!公的年金 公的年金の仕組み」をもとにLIMO編集部作成

2.1 国民年金(1階部分)

国民年金は、原則として日本に居住する20歳以上60歳未満の全員が加入します。職業や国籍は問いません。

  • 年金保険料は?:第1号被保険者は全員一律(※1)
  • 老後の受給額は?:40年間(480月)欠かさず納めれば満額(※2)
  • 被保険者は?:第1号~第3号に区分される(※3)

※1 国民年金保険料の月額:2026年度 1万7920円(2025年度は1万7510円)。第2号被保険者の分は厚生年金保険料に含まれ、第3号被保険者に保険料の負担はありません
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額の月額:2026年度 7万608円
※3 第1号被保険者は農業者・自営業者・学生・無職の人など、第2号被保険者は厚生年金の加入者、第3号被保険者は、第2号被保険者に扶養されている配偶者

2.2 厚生年金(2階部分)

厚生年金は、会社員や公務員、パート・アルバイトで特定適用事業所(※4)で働き一定要件を満たした方が、国民年金に上乗せで加入します。

  • 年金保険料は?:収入に応じて決まり(※5)、給与からの天引きで納付
  • 老後の受給額は?:加入期間や納めた保険料により個人差がある
  • 被保険者は?:第1号~第4号に区分される(※6)

※4 1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※5 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(1カ月あたり上限150万円)に保険料率をかけて計算される
※6 第1号は、第2号~第4号以外の、民間の事業所に使用される人、第2号は国家公務員共済組合の組合員、第3号は地方公務員共済組合の組合員、第4号は私立学校教職員共済制度の加入者

なお、公的年金に上乗せする「3階部分」として、企業年金(確定給付企業年金・企業型確定拠出年金)やiDeCo(個人型確定拠出年金)、国民年金基金といった私的年金の制度が用意されています。加入は任意で、勤め先の制度によって利用できるものが異なります。

3. 【年金早見表】60歳代の厚生年金と国民年金「みんなの平均はいくら?」

厚生労働省年金局より公表されている「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、厚生年金と国民年金の平均年金月額を、各年代の年齢ごとに見てみましょう。

※記事内で紹介する厚生年金の月額には、国民年金の月額部分が含まれています。

まずは、60歳代の各年齢の平均年金月額を見ていきます。

3.1 【厚生年金】60歳代の平均月額

【厚生年金一覧表】60歳代の平均月額3/11

60歳代の厚生年金額

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 60歳:厚生年金9万9664円
  • 61歳:厚生年金10万4455円
  • 62歳:厚生年金10万9323円
  • 63歳:厚生年金6万8758円
  • 64歳:厚生年金8万3901円
  • 65歳:厚生年金14万9862円
  • 66歳:厚生年金15万2378円
  • 67歳:厚生年金15万2356円
  • 68歳:厚生年金15万2709円
  • 69歳:厚生年金15万1284円

3.2 【国民年金】60歳代の平均月額

【国民年金一覧表】60歳代の平均月額4/11

60歳代の国民年金額

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 60歳:国民年金4万5186円
  • 61歳:国民年金4万6371円
  • 62歳:国民年金4万7784円
  • 63歳:国民年金4万7258円
  • 64歳:国民年金4万7896円
  • 65歳:国民年金6万1240円
  • 66歳:国民年金6万1369円
  • 67歳:国民年金6万1345円
  • 68歳:国民年金6万1293円
  • 69歳:国民年金6万978円

4. 【年金早見表】70歳代の厚生年金と国民年金「みんなの平均はいくら?」

続いて、70歳代の各年齢の平均年金月額を見ていきます。

4.1 【厚生年金】70歳代の平均月額

【厚生年金一覧表】70歳代の平均月額5/11

70歳代の厚生年金額

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 70歳:厚生年金15万455円
  • 71歳:厚生年金14万8371円
  • 72歳:厚生年金14万6858円
  • 73歳:厚生年金14万5583円
  • 74歳:厚生年金14万7774円
  • 75歳:厚生年金15万1410円
  • 76歳:厚生年金15万1241円
  • 77歳:厚生年金15万962円
  • 78歳:厚生年金15万862円
  • 79歳:厚生年金15万3115円

4.2 【国民年金】70歳代の平均月額

【国民年金一覧表】70歳代の平均月額6/11

70歳代の国民年金額

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 70歳:国民年金6万1011円
  • 71歳:国民年金6万770円
  • 72歳:国民年金6万234円
  • 73歳:国民年金6万32円
  • 74歳:国民年金5万9813円
  • 75歳:国民年金5万9659円
  • 76歳:国民年金5万9555円
  • 77歳:国民年金5万9349円
  • 78歳:国民年金5万9124円
  • 79歳:国民年金5万8676円