3. そもそも前払いにするかどうかは選べる
入居一時金は、どの施設でも必ず発生するものではありません。支払い方には型があります。
3.1 3つの方式がある
LIMOの記事「介護付き有料老人ホームの費用相場は?月額13.8万円・一時金平均47.2万円から5年間の総額を試算。支払い方式で総額の有利不利が変わる仕組みも解説」から引用します。
- 前払い方式(入居一時金方式):入居時に終身の家賃等の全部または一部を一括で支払う
- 月払い方式:入居一時金なしで、家賃相当額を毎月支払う
- 併用方式・選択方式:前払いと月払いを組み合わせる、または入居者が選択できる
出所:LIMO「介護付き有料老人ホームの費用相場は?月額13.8万円・一時金平均47.2万円から5年間の総額を試算」
前払金の規定が働くのは、前払い方式と併用方式です。月払い方式を選べば、一時金そのものが発生しません。
3.2 どちらが得かは入居期間で変わる
前払いは長く住むほど月々の負担が軽くなる仕組みです。逆に短期間で退去すれば、月払いのほうが総額は少なくて済むことがあります。
施設介護の月額費用は、生命保険文化センターの調査で平均13.8万円とされています。5年間なら828万円です。ここに入居一時金が乗るかどうかは、選んだ方式で変わります。
4. 契約前に見ておくところ
まず、前払金の算定の基礎が書面で示されているかを確かめてください。法律上、明示しなければならないものです。
次に、保全措置がどうなっているかを聞きます。事業者が倒れたときに返ってくるかどうかは、ここで決まります。
そして、いつまでに退去したらいくら返るのかを契約書で確認することになります。第10項の返還契約がそれにあたります。
5. まとめにかえて
老人福祉法第29条第8項により、有料老人ホームの設置者は家賃・敷金・介護等の対価を除いて権利金その他の金品を受領できません。第9項では前払金の算定の基礎を書面で明示し、返還債務に備えた保全措置を講じることが義務づけられています。
第10項により、一定期間内に契約が解除されたり入居者が亡くなったりした場合には、前払金を返還する契約を結ぶことになっています。第7項の情報開示と、第11項・第12項の報告・公表もあわせて定められています。
そのうえで支払い方式は前払い・月払い・併用の3つです。どれを選ぶかで、入居期間による有利不利が変わります。金額を見る前に、この型を確かめておいてください。
参考資料
- e-Gov法令検索「老人福祉法」
- 厚生労働省「介護・高齢者福祉」
- LIMO「介護付き有料老人ホームの費用相場は?月額13.8万円・一時金平均47.2万円から5年間の総額を試算。支払い方式で総額の有利不利が変わる仕組みも解説」
LIMO編集部社会保障解説班