有料老人ホームのパンフレットに並ぶ入居一時金という言葉に、身構えてしまう人は多いはずです。
まとまった額を先に払うのだから、途中で出ることになったらどうなるのか。実はそこには法律の定めがあります。
この記事では、e-Gov法令検索で老人福祉法第29条を確認し、前払金をめぐるきまりを整理します。
1. 【有料老人ホーム】前払金には法律の縛りがある
老人福祉法第29条は、有料老人ホームの届出について定めた条文です。そのなかに、お金の受け取り方についての規定が並んでいます。
1.1 権利金は受け取れない
第8項は、有料老人ホームの設置者は、家賃、敷金及び介護等その他の日常生活上必要な便宜の供与の対価として受領する費用を除くほか、権利金その他の金品を受領してはならないと定めています。
つまり、名目のはっきりしないお金を取ることは認められていません。何の対価なのかが説明できる費用に限られます。
1.2 算定の基礎を書面で示し、保全措置をとる
第9項が前払金の規定です。終身にわたって受領すべき家賃その他のものの全部または一部を前払金として一括して受領する設置者は、当該前払金の算定の基礎を書面で明示しなければなりません。
さらに、その前払金について返還債務を負うこととなる場合に備えて、必要な保全措置を講じなければならないとされています。事業者が倒れたときのための備えです。
1.3 途中で終わったら返す契約を結ぶ
第10項は返還についてです。前払金を受領する場合、入居した日から一定の期間を経過する日までの間に契約が解除され、または入居者の死亡により終了したときに、前払金の額から算定される額を控除した額を返還する旨の契約を締結しなければならないと定めています。
入ってすぐに退去することになっても、払った額がそのまま消えるわけではありません。返す契約を結ぶことが、設置者の義務になっています。
2. 情報を出すことも義務になっている
金額の話だけではありません。判断材料を出すところまでが定められています。
2.1 入居しようとする者への開示
第7項は、当該有料老人ホームに入居する者または入居しようとする者に対して、供与をする介護等の内容その他の事項に関する情報を開示しなければならないとしています。
入居してからではなく、検討している段階の人にも開示する義務がある点が要点です。
2.2 都道府県知事への報告と公表
第11項は、有料老人ホーム情報を都道府県知事に報告することを義務づけています。有料老人ホーム情報とは、入居しようとする者が施設の選択を適切に行うために必要なものとされる情報です。
そして第12項により、都道府県知事は報告された事項を公表しなければなりません。パンフレット以外にも、確かめる先があるということになります。
支払い方式の種類については、下記の記事より一部を引用・参照しています。
