老人ホームを調べ始めると、名前の違う施設がいくつも出てきて混乱します。
実はこの違いは呼び名の問題ではありません。老人福祉法のどこに書かれている施設かで、成り立ちそのものが分かれています。
この記事では、e-Gov法令検索で老人福祉法の条文を確認して施設の区分を整理したうえで、公的な施設の費用がどう決まるのかを見ていきます。
1. 【老人ホーム】法律のどこに書かれているかで分かれる
老人福祉法第5条の3は、老人福祉施設として7種類を挙げています。老人デイサービスセンター、老人短期入所施設、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、老人福祉センター、そして老人介護支援センターです。
1.1 特別養護老人ホームと養護老人ホーム
特別養護老人ホームは第20条の5に定められています。第11条第1項第2号の措置に係る者や、介護保険法の施設介護サービス費の支給に係る者などを入所させ、養護することを目的とする施設です。
養護老人ホームは第20条の4です。こちらは第11条第1項第1号の措置に係る者を入所させて養護するとともに、その者が自立した日常生活を営み、社会的活動に参加するために必要な指導及び訓練その他の援助を行うことを目的としています。
どちらも市町村の措置が入口になりますが、根拠となる号が違います。同じ「措置」という言葉でも、指しているものは同じではありません。
1.2 軽費老人ホームは料金の性格で定義されている
軽費老人ホームは第20条の6です。無料又は低額な料金で老人を入所させ、食事の提供その他日常生活上必要な便宜を供与することを目的とする施設と書かれています。
ここだけ料金の水準そのものが定義に入っている点が特徴です。誰を入れるかではなく、いくらで入れるかで区切られています。
1.3 有料老人ホームは老人福祉施設に入らない
一方、有料老人ホームは第29条にあります。老人を入居させ、入浴・排せつ・食事の介護、食事の提供などの介護等をする事業を行う施設であって、老人福祉施設などでないものと定義されています。
つまり老人福祉施設ではないもの、という引き算で決まる区分です。設置しようとする者は、あらかじめ都道府県知事に届け出ることになっています。
2. 届出でできる施設という意味
この届出という手続きが、料金の決まり方につながっています。
2.1 届け出る内容と変更のルール
届出が必要なのは、施設の名称及び設置予定地、設置しようとする者の氏名及び住所または名称及び所在地などです。届出をした者は、定められた事項に変更が生じたときは変更の日から1か月以内に届け出なければなりません。
事業を廃止または休止しようとするときは、その1か月前までに届け出ます。都道府県知事は届出があったとき、遅滞なくその旨を市町村長に通知します。
2.2 料金は法律に書かれていない
条文を読んでいくと分かるのは、有料老人ホームについて法律が定めているのは手続きであって、金額ではないということです。軽費老人ホームのように無料又は低額という文言もありません。
ここが、施設によって費用が大きく違う理由の入口になります。
なお、介護保険施設の基準費用額については、LIMOの記事「老人ホームの費用相場はいくら?特養と有料老人ホームでは値段の決まり方が根本的に違うことを、令和8年8月の食費改定も踏まえ公的資料にもとづき編集部が整理」より一部を引用・参照しています。
