9月は、年金生活者支援給付金の請求書が順次届く月です。新たに対象となった方へ、日本年金機構からはがき型の請求書が郵送されます。
2026年度の給付額は前年度から3.2%引き上げられ、老齢年金生活者支援給付金の基準額は月5620円になりました。あわせて、対象かどうかを判定する所得の基準額も10月分から引き上げられます。
ただし、この5620円がそのまま全員に届くわけではありません。老齢の給付額は、保険料を納めた期間と免除を受けた期間に応じて一人ひとり計算されます。
この記事では、2026年度の給付額と3種類の支給要件、請求の手続き、そして給付額の計算のしかたまでを確認します。
なお、2026年度の給付額と支給要件に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。
1. 2026年度の給付額は3.2%増。老齢の基準額は月5620円
年金生活者支援給付金は、公的年金等の収入金額やその他の所得が一定の基準に満たない場合に受け取れる制度です。老齢・障害・遺族のそれぞれに給付金が用意され、2カ月に一度、公的年金に上乗せして支給されます。
1.1 給付額は公的年金と同じく年度ごとに見直される
給付額は固定ではありません。公的年金と同じように、年度ごとに改定されます。
2026年4月分からの給付基準額をまとめた記事では、今年度の改定率が次のように示されています。
2026年度の「年金生活者支援給付金」は、前年度比で+3.2%の引き上げが決定しました。
この増額率は、6月支給分の「4月分・5月分」から反映されています。
1.2 老齢5620円・障害1級7025円・遺族5620円
2026年度の各給付金の月額は次のとおりです。
- 老齢年金生活者支援給付金(月額):5620円(※基準額)
- 障害年金生活者支援給付金(月額):1級 7025円・2級 5620円
- 遺族年金生活者支援給付金(月額):5620円
障害と遺族は、この金額がそのまま支給されます。一方で老齢だけは「基準額」と書かれており、扱いが違います。ここから実際の給付額を計算していく仕組みです。
2. 「老齢」の給付額は、納付済期間と免除期間を足して決まる
基準額の月5620円は、保険料を40年すべて納めた方の額です。実際にいくらになるかは、期間の中身によって変わります。
2.1 2つの式の合計で計算する
日本年金機構は、老齢年金生活者支援給付金の給付額を次の2つの合計として示しています。
- 保険料納付済期間に基づく額(月額)=5620円×保険料納付済期間÷480月
- 保険料免除期間に基づく額(月額)=1万1768円×保険料免除期間÷480月
480月は40年にあたります。なお昭和16年4月1日以前に生まれた方は、生年月日に応じて480月が短縮されます。
2.2 免除期間の単価は納付済期間の約2倍
2つの式で、掛ける単価が違う点に注目してください。納付済期間は5620円ですが、免除期間は1万1768円です。
この1万1768円は、老齢基礎年金の満額(月額)の6分の1にあたります。保険料4分の1免除期間については、満額の12分の1にあたる5884円が使われます。
いずれも昭和31年4月2日以後に生まれた方の金額で、昭和31年4月1日以前に生まれた方は1万1734円と5867円です。
保険料の免除を受けていた期間があると給付額が抑えられる、と受け取られることがありますが、この計算では逆に押し上げる方向に働きます。
2.3 納付済240カ月・全額免除60カ月なら月4281円
日本年金機構は、昭和31年4月2日以後に生まれた方を例に、納付済月数が240カ月、全額免除月数が60カ月の場合の計算を示しています。
それぞれの計算結果に50銭未満の端数が生じたときは切り捨て、50銭以上1円未満の端数が生じたときは1円に切り上げて計算するとされています。
給付額の算出のもとになった保険料納付済期間や保険料免除期間は、手元の年金証書や支給額変更通知書等で確認できます。
3. 3種類の給付金は、支給要件がそれぞれ違う
老齢・障害・遺族の3つは、同じ名前でも要件が別に定められています。順に確かめていきましょう。
3.1 老齢は3つの要件をすべて満たす必要がある
老齢年金生活者支援給付金の対象となるのは、次の要件をすべて満たす方です。
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
- 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が、昭和31年4月2日以後に生まれた方は82万6500円以下、昭和31年4月1日以前に生まれた方は82万4100円以下(※2)
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は除く
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で82万6500円を超え92万6500円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で82万4100円を超え92万4100円以下である方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される
ここに挙げた82万6500円と82万4100円は、令和8年10月分からの金額です。所得の基準額は10月分から引き上げられているため、9月分までの金額とは線の位置が違います。
3.2 障害は障害基礎年金の受給者で所得491万8000円以下
- 障害基礎年金の受給者である
- 前年の所得(※)が491万8000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額される)
※ 障害年金等の非課税収入は除く
3.3 遺族も遺族基礎年金の受給者で所得491万8000円以下
- 遺族基礎年金の受給者である
- 前年の所得(※)が491万8000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額される)
※ 遺族年金等の非課税収入は除く
障害と遺族の491万8000円も、令和8年10月分からの金額です。3つに共通しているのは、前年の所得が要件に関わるという点になります。
4. 請求手続きは2つのパターンに分かれる
年金生活者支援給付金は、要件を満たしても自動では支給されません。受け取るには請求の手続きが必要です。
支給対象となった方には、日本年金機構からお知らせを兼ねた請求書が郵送されます。送付の時期と書類の形式は、年金の受給状況によって変わります。該当する方が多い2つのパターンを見ていきましょう。
4.1 【パターン1】65歳で老齢基礎年金を新たに請求する場合
- 65歳になる3か月前に、年金受給に必要な「年金請求書(事前送付用)」に同封して送付される
- 必要事項を記入し、受給開始年齢の誕生日の前日以降に、年金の請求書と併せて年金事務所に提出する
4.2 【パターン2】すでに基礎年金を受給中で、新たに対象になった場合
- 毎年9月の第1営業日から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次郵送される
- はがき型の請求書が届いた方は電子申請を利用できる
- 電子申請を利用しない場合は、必要事項を記載してポストに投函する
なお、支給要件に当てはまるかどうかが確認できない方には「年金生活者支援給付金請求書(A4型)」および「所得情報等を確認するための所得状況届」が届きます。
4.3 支給日は偶数月の15日。10月に届くのは8月分と9月分
年金生活者支援給付金は、年6回に分けて、偶数月の15日に支払われます。15日が土日または祝日のときは、その直前の金融機関の営業日に前倒しとなります。
年金の受取口座と同じ口座に、同日、年金とは別に振り込まれます。通帳にはそれぞれ別の振込として記載されます。
各支払月には、原則、その前月までの2カ月分が支払われます。10月に給付されるのは、8月分・9月分の給付金です。

