10月は、2か月に一度の年金が振り込まれる月です。物価高が続く昨今。偶数月の15日に支給される年金額を見て、「この年金だけで暮らしていけるだろうか」「足りない分は、貯蓄をどれくらい取り崩すことになるのだろう」と、あらためて家計を見つめ直す方も多いのではないでしょうか。

秋は食料品を中心に値上げが続き、日々の支出の重みを感じやすい季節でもあります。そんないまだからこそ、年金と貯蓄のバランスを、落ち着いて確かめておきたいところです。

この記事では、総務省が2025年に公表した家計調査をもとに、65歳以上の夫婦世帯の平均貯蓄額と、年金だけでは足りない毎月の不足額を確認し、「その貯蓄なら何年くらいもつのか」を、いっしょに整理していきます。

宮野 茉莉子

年金の振込月は、家計を見直す絶好のタイミングです。大切なのは、不足額の大きさに不安になることではなく、手元の貯蓄で何年ぶんをまかなえるのかを、具体的な数字でつかむことです。

見通しが立てば、必要以上に怖がらずにすみます。まずは平均的な姿から確かめていきましょう。

1. 65歳以上・夫婦世帯の平均貯蓄額はいくら?

総務省統計局が2025年に公表した「家計調査報告(貯蓄・負債編)2025年(令和7年)」によると、世帯主が65歳以上の二人以上世帯の貯蓄現在高は、平均2564万円でした。真ん中の世帯に近い中央値(貯蓄を保有する世帯)でみると1777万円です。

65歳以上・夫婦世帯(二人以上)の貯蓄現在高1/2

65歳以上の二人以上世帯の貯蓄 平均と中央値

出所:総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)2025年(令和7年)平均結果の概要」をもとにLIMO編集部作成

平均と中央値に開きがあるのは、一部の貯蓄が多い世帯が平均を押し上げているためです。だからこそ、平均の数字だけを見て自分の世帯と比べるのではなく、中央値もあわせてみることで、より実感に近い姿がつかめます。

金額の帯ごとの広がりもみておきましょう。65歳以上の二人以上世帯では、2500万円以上を持つ世帯が全体の約3分の1(36.3%)を占める一方、300万円未満の世帯も約1割5分(14.9%)あります。同じ高齢の世帯でも、貯蓄の状況には違いがあります。自分の世帯がどのあたりにいるのかを知ることが、これからの計画の出発点になるでしょう。

なお、世帯主が65歳以上の無職世帯にしぼると、貯蓄現在高は平均2494万円で、前年に比べて66万円(2.6%)減りました。貯蓄額の減少は6年ぶりのことです。物価の上昇が続くなかで、年金でまかないきれない分を貯蓄から補う動きが、数字にもあらわれていると考えられそうです。

宮野 茉莉子

数字の読み方をひとつ。ここでの貯蓄は、家計調査という国の調査で、世帯主が65歳以上の二人以上世帯を対象に集計したものです。預貯金だけでなく、生命保険や有価証券なども含んだ金額で、日々の暮らしを支える蓄え全体をあらわしています。

平均2564万円は、貯蓄の多い世帯に引き上げられた数字です。より多くの世帯の実感に近いのは中央値1777万円のほう。無職世帯にしぼると平均2494万円で、前年から66万円減りました。まずは「平均」と「中央値」、そして「増えているのか減っているのか」の3点で全体像をつかむのがおすすめです。次のページでは、この貯蓄で年金の不足を何年ぶんまかなえるのかを、具体的に計算してみます。