3. 給付付き税額控除は世帯ではなく個人を単位とするとされている

こどもへの加算がある一方で、給付そのものの単位は世帯ではありません。基本方針はこの点も明記しています。

3.1 単身者も対象に含まれる

基本方針には、就労インセンティブの向上や、いわゆる「年収の壁」への効果的な対応の観点等を踏まえ、「個人単位」とし、単身者も対象とすると書かれています。

世帯の人数で線を引く給付ではないため、ひとり暮らしの方も対象から外れない設計です。

3.2 「年収の壁」への対応が個人単位とする理由に挙げられている

個人単位とする理由として挙げられているのが、働き控えの緩和です。

基本方針では、第3号被保険者制度の見直しや被用者保険の適用拡大によって「年収の壁」が解消するまでの時限的な措置として、「年収の壁」に配慮した一定の加算を行うとされています。

4. 先行導入と本格導入で設計が変わる背景に、把握できる情報の差がある

なぜ先行導入のほうが簡素な設計になるのでしょうか。基本方針は、必要な情報がそろう時期に触れています。

4.1 本格導入に向けて16歳から18歳までの被扶養者の情報を把握するとされている

基本方針の「制度の経過措置(つなぎ)」には、公平性などの観点から高所得の配偶者を把握するとともに、子育て世帯への支援の観点から16歳から18歳までの被扶養者の情報を把握するなど、追加的な情報確保の仕組みも必要となると書かれています。

本格導入で加算の対象になる18歳以下と、先行導入の15歳以下の差にあたるのが、この16歳から18歳の年代です。

4.2 環境が整うことが見込まれる時期として令和11年度が示されている

同じ箇所には、必要な環境整備に取り組むことを前提として、その環境が整うことが見込まれる令和11年度に本格導入すると書かれています。

令和11年度という時期は、情報を集める仕組みの整備と結びついて示されたものだと読めます。

5. 給付付き税額控除の加算を家族構成と重ねて見ておく

額はまだ決まっていませんが、自分の家族がどちらの区分に入るかは、いまの段階でも確かめられます。

5.1 高校生の年代は先行導入では加算の対象から外れる

16歳から18歳は、多くのご家庭で高校生にあたる年代です。先行導入の期間中は、この年代のこどもは加算の対象に入りません。

中学生以下のこどもがいるご家庭は、先行導入の段階から加算の対象になります。

5.2 加算の額は基本方針の段階では決まっていない

何人分でいくら加算されるのかは、基本方針には書かれていません。基本方針は、給付に係る閾値となる所得水準や給付額について検討するとしている段階です。

金額の報道に接したときは、内閣官房が公表している基本方針に戻って、確定した内容かどうかを確かめるのが確実です。

6. まとめ

令和8年8月5日に閣議決定された給付付き税額控除の基本方針では、こどもを扶養している方について、18歳以下のこどもの人数に応じた加算を行うとされました。

令和9年度の先行導入では、これに代えて15歳以下のこどもの人数に応じた加算を行うとされています。

高所得の配偶者がいる場合の一定の例外も、本格導入では設けられますが、先行導入では設けられません。

加算の額と給付の対象になる所得水準は、まだ決まっていません。9月に決定される大綱と、その後に提出される法律案で確定した内容が示されます。

参考資料

中本 智恵