5. 2027年3月期1Qで営業利益が3.5倍になった中身

直近の決算は2027年3月期1Qだ。売上収益3,745億円、営業利益732億円、当期利益535億円で着地した。

前年同期は売上収益3,377億円、営業利益208億円だった。営業利益は3.5倍である。四半期の数字としては、かなり大きな段差だ。

会社は通期で売上収益1兆8,400億円、前期比12.0%増、営業利益2,500億円、同51.0%増、当期利益1,720億円、同6.8%増を見込む。1Qの営業利益はこの通期予想の29.3%に当たり、単純に4等分したペースを上回っている。

営業利益の5期推移も並べておきたい。2022年3月期は814億円、2023年3月期は819億円、2024年3月期は▲701億円の営業赤字、2025年3月期は1,435億円、2026年3月期は1,655億円である。

2024年3月期の赤字を挟んで、利益の水準そのものが2倍を超えるところまで切り上がった。当期利益も同じ期の▲682億円から、2026年3月期には1,609億円になっている。

赤字の期に何が起きたのかを、開示された決算数値だけで言い切ることはできない。ただ、その後の2期で利益率の高い事業への集中が進んだことと、この段差は無関係ではないだろう。

通期の営業利益を51.0%増で置いていること自体が、会社が今期をどう見ているかを示している。1Qの進捗は、その見立てに沿った滑り出しと言える。

6. セグメント別の資産と設備投資が示す資源配分の傾き

利益の偏りは、資産と設備投資にも同じ形で現れている。

2026年3月期のセグメント資産は、航空・宇宙・防衛が1兆2,092億円。産業システム・汎用機械の3,503億円、資源・エネルギー・環境の3,359億円、社会基盤の1,232億円と比べると、桁が違う。

設備投資も同じ方向を向く。航空・宇宙・防衛の設備投資は490億円で、連結の設備投資976億円の半分を占める。社会基盤は25億円にすぎない。減価償却費も航空が346億円で最も重い。

資本の使い方としては筋が通っている。利益率17%台の事業に資産と投資を寄せ、1%台の事業からは資源を引く。ROE28.4%という数字は、その配分の結果として出てきたものだと読み取れる。

もっとも、この高いROEを収益力だけで説明するのは乱暴だ。自己資本比率は26.9%で、機械業種の中央値67.3%と比べると大きく低い。分母が薄いぶん、ROEは高く出る。

受注産業は前受金を抱えるため、負債側が膨らみやすい。財務が痩せているというより、事業の性質が資本構成に映っていると見ることもできる。ただ、その資本構成が資本効率の観点で最適かどうかは、また別の論点として残る。

ここで気をつけたいのは、機械という業種区分の粗さだ。同じ区分に括られる160社の中には、航空エンジンとは縁のない事業モデルが数多く混じっている。営業利益率10.1%が中央値7.9%を上回るという比較も、母集団の中身を思い出しながら扱いたい。

7. 筆者コメント

過去5期の営業利益を並べると、この会社が一度大きく崩れ、そこから水準を切り上げてきた軌跡が見えてくる。

興味深いのは、その回復が売上の拡大では説明できないところだ。売上収益はこの2期ほぼ横ばいで、それでも利益は大きく伸びている。動いたのは規模ではなく、事業の組み合わせだった。

手放した事業と、投資を寄せた事業。その入れ替えが決算に効いてきたと考えるのが自然だろう。売上を減らす決断が利益を増やすという、教科書どおりの絵が実際に出ている。

この読み方に立つと、次に確かめたい点も変わってくる。周辺事業の切り離しが一巡した後、残った事業だけで利益の水準を保てるのか。事業譲渡に伴う益のような一過性の要素が抜けたときの姿こそ、実力に近いはずだ。

業種のラベルは便利だが、便利すぎて中身を隠すこともある。決算のたびに事業別の表を先に開く習慣を付けておくことをおすすめしたい。

参考資料

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石津 大希