9月は「敬老の日」もあり、実家の親のことをふと気にかける機会が増える時期です。
親を持つ30〜50歳代の男女330人を対象にした東葛福祉葬祭の調査(2026年8月)では、73.3%が「親の葬儀費用は親自身の貯蓄で賄ってほしい」と回答した一方、83.6%が「親と話し合った経験がない」と答えています。
「家族葬だから安く済むはず」という思い込みが、実際の請求額とのギャップを生み、思わぬトラブルにつながるケースも少なくありません。
本記事では、葬儀費用の実態データとトラブル事例を整理したうえで、後悔しないために今からできる備えを紹介します。
1. 親の葬儀費用、家族で話していますか
有限会社東葛福祉葬祭が親を持つ30〜50歳代の男女330人を対象に行った「親の葬儀費用に関する調査」(2026年8月)によると、73.3%が「親の葬儀費用は親自身の貯蓄で賄ってほしい」と回答しています。
その一方で、親の貯蓄額や葬儀費用について「話し合った経験がない」と答えた人は83.6%にのぼりました。多くの家庭が「親のお金でやってほしい」と思いながら、その中身については何も確認できていないというねじれた状態にあるのです。
- 親の葬儀費用は「親自身の貯蓄で賄ってほしい」:73.3%
- 親の貯蓄額や葬儀費用について「話し合った経験がない」:83.6%
限られた予算の中で削ってもよいと思う項目(上位)は次の通りです。
- 式場の広さ・グレード:60.0%
- 一般参列者を呼ぶこと:53.3%
- 祭壇のグレード:47.6%
また、「特にお金をかけたいものはない」と回答した人も61.8%にのぼりました。
子ども世代のあいだにも、見栄より実質を重視したい、「特にお金をかけたいものはない」という本音があること自体は、まずは知っておく価値があるといえそうです。
ただし、これはあくまで子ども世代側の本音です。削ってよい部分の前に、見送られる親自身がどう考えているかを聞けているかどうかも、本来はセットで考えたいところです。
2. 「家族葬だから安い」は思い込み――費用相場の実態
では実際に、葬儀にはどれくらいの費用がかかっているのでしょうか。
株式会社鎌倉新書「いい葬儀」が実施した「第7回 お葬式に関する全国調査」(2026年5月)によると、葬儀費用の全体平均は96万7300円で、前回調査より2万5000円上昇しています。
- 全体平均:96万7300円(前回比+2万5000円)
- 一般葬:122万100円
- 家族葬:96万3900円(前回比+6万4900円)
- 一日葬:74万4300円
- 直葬・火葬式:49万5600円
家族葬は一般葬より抑えられるとはいえ、前回調査からは6万4900円上昇しており、広告やチラシでよく見かける「30万円〜」「50万円〜」といった価格表示とのギャップは小さくありません。
「家族葬なら数十万円で済むはず」というイメージを持つ人は少なくありませんが、こうした表示価格と実際の契約額との差が、思わぬトラブルの原因になることもあります。広告の表示額はあくまで基本プランの料金で、飲食代や返礼品、宗教者へのお布施、ドライアイスなどの追加費用が含まれていないケースが多く、こうした「基本プラン外」の項目が積み重なることで、総額が表示額を大きく上回ることがあります。
3. 筆者からのコメント
葬儀は、多くの人にとって喪主になって初めて直面するもので、費用感がまったくつかめないまま契約してしまいがちです。
別の調査(株式会社レイシー、2026年5月)では、家族葬の平均は98万円、一日葬は81万円、火葬式は35万円で、喪主の年齢層は55〜59歳が最も多く、50〜64歳で全体の約55%を占めるという結果も出ています。多くが働き盛りの現役世代で、慣れない喪主業務と仕事を同時にこなしながら、限られた時間で契約の判断を迫られているのが実情です。
今回の調査結果を見ても、「安いはず」という思い込みと実際の請求額とのギャップが、トラブルの入り口になっていることがよく分かります。時間的な余裕がないからこそ、事前に家族で話しておくことの意味は大きいと感じています。
