自営業やフリーランスとして国民年金の第1号被保険者だった夫が亡くなったとき、妻には遺族基礎年金とは別に受け取れるお金があります。

寡婦年金と死亡一時金です。どちらも国民年金の第1号被保険者だけの給付で、両方を受け取れる場合はどちらか一方を選びます。

ただし、寡婦年金には受け取れなくなる条件があります。日本年金機構は「妻が繰り上げ支給の老齢基礎年金を受けているときは支給されません」としています。この記事では、寡婦年金の額の決まり方と、繰上げとの関係を確認していきます。

1. 厚生年金にはない独自制度!「寡婦年金」と「死亡一時金」とは

まず、2つの給付の要件を並べて確認します。

1.1 寡婦年金は夫の納付期間10年と婚姻期間10年が条件

日本年金機構によると、寡婦年金は、死亡日の前日において国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた期間および保険料免除期間が10年以上ある夫が亡くなったときに支給されます。

受け取れるのは、その夫と10年以上継続して婚姻関係にあり、死亡当時に生計を維持されていた妻です。事実上の婚姻関係も含まれます。

支給されるのは、妻が60歳から65歳になるまでの間です。

1.2 死亡一時金は保険料を納めた月数36月以上が条件

死亡一時金は、死亡日の前日において第1号被保険者として保険料を納めた月数が36月以上ある方が、老齢基礎年金・障害基礎年金を受けることなく亡くなったときに支給されます。

受け取れるのは生計を同じくしていた遺族で、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順に優先順位が決まっています。額は保険料を納めた月数に応じて12万円から32万円です。

付加保険料を納めた月数が36月以上ある場合は、8500円が加算されます。

両方を受け取れる場合は、どちらか一方を選ぶことになります1/2

両方を受け取れる場合は、どちらか一方を選ぶことになります

出所:日本年金機構「寡婦年金」日本年金機構「死亡一時金」を参考にLIMO編集部作成

2. 寡婦年金はいくらもらえる?満額ベースで約5万円の計算式

次に、寡婦年金がいくらになるのかを見ていきます。

2.1 夫の第1号被保険者期間だけで計算する

日本年金機構は、寡婦年金の額を「夫の第1号被保険者期間だけで計算した老齢基礎年金額の4分の3の額」と説明しています。

会社員として厚生年金に加入していた期間は、この計算に入りません。自営業の期間が長いご家庭ほど額が大きくなる仕組みです。

2.2 2026年4月分からの年金額で試算する

2026年4月分からの老齢基礎年金の満額は、昭和31年4月2日以後生まれの方で年84万7300円です。

夫が第1号被保険者として40年間すべて保険料を納めていた場合、老齢基礎年金額は満額の84万7300円ですので、その4分の3にあたる年63万5475円が寡婦年金の額になります。月にすると約5万2900円です。

納めた期間が25年であれば老齢基礎年金額は年52万9563円となり、その4分の3の年39万7172円、月にして約3万3100円が目安です。

3. 寡婦年金がもらえなくなる「3つのケース」

ここが今回いちばん確認しておきたい点です。寡婦年金には、支給されない場合が定められています。

3.1 妻が繰上げ支給を受けていると請求できない

日本年金機構は「妻が繰り上げ支給の老齢基礎年金を受けているときは支給されません」としています。

老齢基礎年金は60歳から繰り上げて受け取れますが、寡婦年金も同じ60歳から65歳までの給付です。繰上げを選んでいると、この期間に寡婦年金を受け取ることはできません。

3.2 夫が老齢基礎年金や障害基礎年金を受けたことがあるときも支給されない

亡くなった夫の側にも条件があります。日本年金機構は「亡くなった夫が、老齢基礎年金・障害基礎年金を受けたことがあるときは支給されません」としています。

夫がすでに年金を受け取っていた場合には、寡婦年金の対象にならないということです。

寡婦年金が支給されないのは、次の3つの場合です2/2

寡婦年金が支給されないのは、次の3つの場合です

出所:日本年金機構「寡婦年金」を参考にLIMO編集部作成

村岸 理美

繰上げは一度決めると選び直せませんので、寡婦年金の見込みを先に出してから比べるようにしています。夫の加入記録を取り寄せるところが出発点です。