この記事の読みどころ

三菱自動車の燃費不正改ざん問題が深刻化しており、影響の広がりが見通せない状況にあります。

今から12年前に経営危機に直面した教訓が生かされていないと言わざるを得ません。

今後の最大の関心は、三菱グループがどの程度支援に取り組むかでしょう。

三菱自動車の燃費不正改ざんが明らかに

三菱自動車(7211)が、軽自動車の燃費を不正改ざんしていたことが明らかになり、またしても大きな社会問題になっています。

詳細は省略しますが、今回は、燃費数値を国(国土交通省)が定めた方法ではなく、自社に都合の良い数値を報告した模様です。しかも、この不正改ざんが1990年から行われていたとも報道されており、どこまで影響が広がるか全く見通せない状況です。

三菱自動車は、4月26日に決算発表を予定していますが、現時点では、一連の問題に絡む損失額を合理的に見積もることができないため、2017年3月期の会社予想を公表できないと見られます。

今から12年前に経営危機に直面した三菱自動車

冒頭に“またしても”と記しましたが、三菱自動車は2000年代前半にも、リコール隠匿により大きな社会問題を引き起こしています。念のために言うと、リコール(該当製品を無料で回収・修理すること)が悪いのではありません。それを隠匿したこと、つまり、隠していたことが大きな問題なのです。

その結果、社会的信用を失い、多額の関連損失を計上し、販売が落ち込んだ結果、2004年に同社は経営危機に直面しました。その時は、三菱重工や三菱商事など、三菱グループが総力を挙げて支援し、また、投資ファンドから出資を得たこともあり、何とか一命をつなぎ止めたのです。

あれから約12年が経ちましたが、同じようなことが繰り返されました。今回のニュースを聞いたとき、開いた口が塞がらなかったのと同時に、不思議なくらいサプライズを感じませんでした。「あぁ、またか」と比較的冷静に受け止めた人も少なくなかったのではないでしょうか。

今後の2つの注目点

さて、当面の注目点は、今回の不正改ざん問題の影響の範囲、及び、三菱グループの支援の有無の2点です。

まず、燃費不正改ざんが国内の軽自動車だけなのか、それとも、他の車種や、海外向けにも波及するのかが焦点です。現状では、軽自動車だけで済みそうな雰囲気ではありません。仮に、海外市場での販売車種にも問題があれば、広範囲な対応費用が必要ですし、場合によっては、訴訟問題に発展する可能性も否めません。事は重大です。

もう1つの、三菱グループの支援の有無も極めて重要です。三菱グループ、とりわけ、関係の深い三菱重工が救いの手を差しのべるのか、それとも、毅然とした厳しい対応に終始するのか、大きな関心を集めるでしょう。そこには、同じ企業集団であるという感情論もあるでしょうし、既存の株主への説明責任という問題もあります。

消費者を置き去りにする企業に未来はない

いずれにせよ、しばらくは全容解明を待つしかないでしょう。ただ、一番重要なことは、今も三菱自動車のクルマに乗っているユーザー、消費者を最優先に考えなくてはいけないということです。今回の問題は、消費者(顧客、ユーザー)を軽視する企業に未来がないことを、改めて深く考えさせられたと言えます。

【2016年4月27日 投信1編集部】

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LIMO編集部