生活保護というと生活費の支給というイメージが強いですが、費用の内訳を見ると景色が変わります。
厚生労働省が社会保障審議会生活保護基準部会に示した資料によると、生活保護費負担金(事業費ベース)は令和7年度当初予算で約3.7兆円で、実績額の約半分は医療扶助です。
この記事では、扶助別に見た生活保護費の内訳と、医療扶助が半分を占める背景にある給付のしくみを確認していきます。
1. 生活保護費は事業費ベースで約3.7兆円
まず全体の規模を押さえておきましょう。
1.1 令和7年度当初予算で約3.7兆円
厚生労働省の資料では、生活保護費負担金(事業費ベース)を令和7年度当初予算で約3.7兆円としています。施設事務費を除いた額です。
金額でいうと3兆7077億円で、令和6年度の補正後予算は3兆7177億円でした。
1.2 令和5年度の実績額は3兆6007億円
実績としてはっきりしている直近の額は、令和5年度の3兆6007億円(暫定値)です。
推移を見ると、平成26年度が3兆6746億円で、令和4年度の3兆5059億円までゆるやかに下がり、そこから再び増えています。
2. 扶助別の内訳では医療扶助が50.9%を占める
次に、その額がどの扶助に使われているのかを見ていきます。
2.1 医療扶助は1兆8341億円、生活扶助は1兆334億円
令和5年度(暫定値)の扶助別の内訳は次のとおりです。
- 医療扶助:1兆8341億円(50.9%)
- 生活扶助:1兆334億円(28.7%)
- 住宅扶助:6031億円(16.8%)
- 介護扶助:1021億円(2.8%)
- その他の扶助:280億円(0.8%)
食費や光熱水費にあたる生活扶助よりも、医療扶助のほうが大きいという構成です。
2.2 医療扶助の割合は平成26年度の46.9%から上がってきた
医療扶助の構成割合は、平成26年度は46.9%でした。
それが令和5年度には50.9%になっています。9年で4ポイントほど上がり、半分を超えた形です。
3. 医療扶助が半分を占めるのは現物給付というしくみが関係する
医療扶助の額が大きくなる背景には、給付の形の違いがあります。
3.1 窓口で払う自己負担分にあたる費用も保護費に含まれる
厚生労働省の資料によると、住宅扶助費や教育扶助費が現金給付される一方で、医療扶助費と介護扶助費は原則現物給付です。
医療にかかった費用がそのまま保護費として計上されるため、生活費として現金で渡される扶助とは金額の出方が違います。医療機関に支払われた診療費の全額が、扶助の実績額に積み上がる形です。
生活保護費の内訳は、厚生労働省が基準部会に出している資料で扶助別に確かめられます。年度によって実績値と予算額が混ざるので、どの年度の数字かを見てから比べると読み間違いを避けられます。
