金融庁が公表した令和9年度税制改正要望により、新NISAで商品を売却した際の「非課税投資枠の復活時期」が前倒しされる可能性が出てきました。
現在の制度では売却した枠の再利用は「翌年以降」とされていますが、要望が実現すれば「売った同じ年のうち」に枠を使い直せるようになります。本記事では、この税制改正要望のポイントと現行ルールの仕組みを整理するとともに、制度変更に備えて知っておきたい「つみたて投資枠でインデックス投信を選ぶ際に避けたい5つの注意点」をわかりやすく解説します。
1. 【新NISA】2026年8月の税制改正要望で、売った枠の戻り方が変わるかもしれない
金融庁は2026年8月、令和9年度の税制改正要望を公表しました。この中にNISAの項目が入っています。
1.1 要望では非課税保有限度額が当年中に復活する
要望されているのは、一人一人のライフプランに沿った安定的な資産形成を後押しするため、非課税保有限度額の当年中の復活や、つみたて投資枠における要件の整備等、NISAの利便性向上等にかかる所要の措置を講ずることです。
NISAで買った商品を売ると、その分の枠は使えるようになります。要望が実現すれば、それが売った年のうちに使えることになります。
1.2 いまは翌年以降に簿価の分が戻る
金融庁の説明では、現在の制度は「商品を売却した場合、翌年以降売却した商品の簿価(取得金額)の分だけ非課税投資枠が復活し、再利用が可能」とされています。
つまり今年売った分の枠が使えるのは、来年からということです。年内に売って年内に買い直す使い方は、いまの制度ではできません。
戻るのは売れた金額ではなく、買ったときの金額です。値上がりした商品を売っても、戻る枠は買付け時の金額の分にとどまります。
2. 【新NISA】1800万円の非課税保有限度額は買付け残高で管理される
枠の戻り方を理解するには、限度額がどう数えられているのかを先に見ておく必要があります。
2.1 年間の投資枠は合計360万円まで使える
新しいNISAには2つの枠があります。つみたて投資枠の年間投資枠は120万円、成長投資枠は240万円で、併用すると年間360万円です。
非課税保有期間は無期限で、口座開設期間も恒久化されています。期限を気にして売り急ぐ必要がない制度になっています。
2.2 成長投資枠には1200万円の上限がある
生涯を通じた非課税保有限度額は1800万円です。金融庁は、つみたて投資枠だけで非課税保有限度額の1800万円を使いきることは可能だと説明しています。
一方で、成長投資枠の非課税保有限度額は1200万円とされています。1800万円すべてを成長投資枠に充てることはできません。
そして限度額は「買付け残高(簿価残高)で管理されます」とされています。時価が増えても限度額を圧迫しない代わりに、売ったときに戻る枠も買付け時の金額になります。
3. 新NISAのインデックス投信選びで避けたい5つのポイント
枠が戻る時期が早まれば、売って買い直す判断の機会は増えます。そのときに関わってくるのが商品の選び方です。つみたて投資枠でインデックス投信を選ぶ場面で、避けたいことを5つ挙げます。
3.1 コストを確認せずに選ぶ
投信を保有している間は信託報酬がかかります。同じ指数に連動する投信でも水準は異なるので、目論見書や販売会社のサイトで確認しておきたいところです。
3.2 投資対象を知らずに人気だけで選ぶ
インデックス投信は、どの指数に連動するかで中身が変わります。名前が似ていても、対象が日本株なのか先進国株なのか全世界株なのかで値動きは変わります。
3.3 ひとつの地域やテーマに集中しすぎる
特定の国や業種に絞った投信は、その対象が下がったときの影響を受けやすくなります。投資先を分けておくかどうかは、あらかじめ決めておく必要があります。
3.4 短期の値動きで売買を繰り返す
いまの制度では、売った分の枠が使えるのは翌年以降です。短期で売買を繰り返すと、その年に使える枠を先に消費してしまいます。
当年中の復活は要望の段階なので、いまは翌年以降という前提で考えておくほうが安全です。
3.5 似た投信をいくつも重ねて持つ
複数の投信を持っていても、連動する指数が近ければ中身は重複します。本数を増やしたことが分散につながっているかは、対象を並べて確かめる必要があります。
つみたて投資枠でインデックス投信を選ぶときの5つの注意点です2/2
出所:LIMO編集部作成