仕事が原因で家族を亡くしたとき、労災保険と公的年金のどちらから受け取ることになるのか、迷う方もいるのではないでしょうか。
結論からいうと、労災保険の遺族(補償)等年金と厚生年金保険の遺族厚生年金は、どちらか一方を選ぶのではなく両方受け取れます。ただし労災保険の側に調整が入ります。
この記事では、遺族年金の基本の額をおさえたうえで、労災保険からいくら支給されるのか、そして両方受け取るときにどちらがどれだけ減るのかを確認していきましょう。
1. まず遺族年金の基本の額を確認する
調整の話に入る前に、公的年金の側の額をおさえておきます。
1.1 遺族基礎年金は年84万7300円に子の加算がつく
遺族基礎年金の額は、令和8年度で年84万7300円です。
ここに子の加算額が上乗せされ、1人目と2人目の子は各24万3800円、3人目以降の子は各8万1300円になります。
子が2人いる場合は年133万4900円です。
1.2 遺族厚生年金は報酬比例部分の4分の3で計算する
遺族厚生年金の額は、亡くなった方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3にあたる額です。
平成15年3月以前の加入期間は1000分の7.125、平成15年4月以後の加入期間は1000分の5.481という給付乗率で計算します。
亡くなった方の給与の水準と加入期間によって金額が決まる仕組みです。
2. 労災保険の遺族(補償)等年金は遺族の数で決まる
業務や通勤が原因で亡くなった場合は、労災保険から遺族への給付があります。公的年金とは別の制度です。
2.1 給付基礎日額の153日分から245日分
年金額は、遺族の数に応じて給付基礎日額の何日分という形で決まります。
遺族が1人なら153日分、2人なら201日分、3人なら223日分、4人以上なら245日分です。
遺族が1人でも、その方が55歳以上の妻または一定の障害状態にある妻の場合は175日分になります。
2.2 遺族の数え方には決まりがある
ここでいう遺族の数は、受給権者と、受給権者と生計を同じくする受給資格者の数で数えます。
受給資格者の順位は、配偶者が最優先で、次に18歳以下または一定障害の子、60歳以上または一定障害の父母、18歳以下または一定障害の孫と続きます。
この「18歳以下」とは、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある方を指します。
3. 両方受け取れるが、減額されるのは労災保険の側
同じ死亡という事由で労災保険と公的年金の両方から給付が出るとき、そのまま合計すると重複が生じます。そこで調整が行われます。
3.1 調整率は0.80・0.84・0.88の3つ
厚生労働省は、遺族(補償)等年金とあわせて受け取る年金の組み合わせごとに調整率を示しています。
遺族厚生年金と遺族基礎年金の両方を受け取る場合は0.80、遺族厚生年金だけの場合は0.84、遺族基礎年金だけの場合は0.88です。
受け取る公的年金が多いほど、労災保険の側の調整率は小さくなります。
3.2 厚生年金と国民年金は全額支給される
調整率を乗じられるのは労災年金の側だけです。
厚生年金保険と国民年金からの給付は全額支給されます。
「どちらかを選ぶと片方を諦めることになる」という話ではないので、両方の請求を進めて差し支えありません。
労災と年金は窓口が別なので、片方だけで手続きが終わったと思ってしまう方がいます。両方受け取れる前提で、それぞれの通知が届いているかを確かめておくと安心です。
