「働けなくなったら、年金を早めに受け取ればいい」—50歳代のおひとりさまで、そんなふうに考えている方もいるのではないでしょうか。ただ、早く受け取る選択には、知っておくべき条件が付いています。
受け取る時期の判断は、ひとりの老後の家計を長く左右します。まずは同世代のおひとりさまの貯蓄の現在地を平均と中央値で確かめ、そのうえで、年金の繰上げ受給のしくみをみていきましょう。
今回は、50歳代の単身世帯の平均貯蓄額と中央値を確認し、「60歳から受け取ると24%減」という繰上げの中身と注意点をみていきます。
年金は受け取り始める時期を選べますが、早める「繰上げ」には注意点があります。減額が生涯続き、あとから取り消せないためです。まずは同世代の貯蓄の現在地を確かめ、繰上げの中身を正しく知ったうえで判断していきましょう。
1. 【50歳代おひとりさまの平均貯蓄額】中央値はいくらか?
金融経済教育推進機構(J-FLEC)が2025年に公表した「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」によると、50歳代・単身世帯の金融資産保有額(平均・中央値)は次のとおりです。
※金融資産保有額とは、預貯金だけでなく株式、投資信託、生命保険などを含んだ金額です。ただし、日常的に使う普通預金の残高は含まれていません。
1.1 50歳代おひとりさまの貯蓄額(平均・中央値)
- 50歳代単身世帯:平均999万円/中央値120万円
50歳代のおひとりさまは平均999万円・中央値120万円。貯蓄のない人が35.2%と3人に1人を超え、2000万円以上は15.9%です。平均が中央値を大きく上回り、実感に近いのは中央値120万円のほうです。
老後の受け取り方を、いまのうちに考えておきたい時期です。
50歳代のおひとりさまは、年金の受け取り方をそろそろ考えたい時期です。平均は一部の高い世帯に引き上げられるため、実感に近いのは中央値のほうです。次のページでは、早く受け取る「繰上げ」の減額と注意点をみていきます。
著者
株式会社モニクルリサーチ メディア編集本部
LIMO編集部記者/一種外務員資格(証券外務員一種)/元証券会社社員
1985年生まれ。福岡県出身。筑紫女学園短期大学英文科(現・筑紫女学園大学)を卒業後、2005年に日興コーディアル証券株式会社(現・SMBC日興証券株式会社)に入社。一種外務員資格(証券外務員一種)保有。ファイナンシャルアドバイザーとして、主に富裕層の個人顧客や法人に向けて、株式や債券、投資信託、保険商品などライフプランに寄り添った資産運用を提案する業務に従事。
現在は、株式会社モニクルリサーチのメディア編集本部・LIMO編集部に所属。くらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」では、人事院、内閣府(金融庁、消費者庁、こども家庭庁)、デジタル庁、総務省、法務省、財務省(国税庁)、文部科学省、厚生労働省、農林水産省(林野庁)、経済産業省(中小企業庁)、国土交通省、環境省といった官公庁の公開情報など、信頼性の高い情報をもとに厚生労働省管轄の公的年金(厚生年金保険と国民年金)、年金制度の仕組み、社会保障、退職金、資産運用や貯蓄、NISA、iDeCoなどをテーマに企画・編集・執筆を行う。また、専門家と実務家が発信する金融経済ニュースサイト「LIMO&ファイナンス」でも執筆を行う。(2026年7月11日更新)