Aさんのように生きづらさを感じていると、自ら社会と距離を置いてしまうケースも珍しくありません。2019年3月に内閣府が発表した「生活状況に関する調査」によると、40~64歳のひきこもりは全国に約61万人いると推定されています。

(「広義のひきこもり群」とは、「自室からほとんど出ない」「自室からは出るが、家からは出ない」「近所のコンビニなどには出かける」「趣味の用事のときだけ外出する」に当てはまる人で、その状態が6カ月以上続いている人のことを指す。しかし病気である場合や、妊娠、育児、介護、専業主婦・主夫などで6カ月以内に家族以外の人と会話した人を除外。また在宅ワーカーや自営業なども除く。しかし今回調査から「専業主婦・主夫」「家事手伝い」「家事をする、育児をする」人であっても、家族以外との接触が少ない人は含めた。該当者は47人中11人)

さらに、7年以上ひきこもり生活を続けている割合は約半数を占めています。そして、その生活を支えているのは、34.1%が両親であるという数字も。50代のひきこもりの我が子を、80代の親が面倒を見ている「8050問題」の深刻さが感じられます。

では、そもそもなぜひきこもりになってしまったのでしょうか。その原因は非常に幅広く、学校に行けなくなった、就職活動に失敗したというケースだけではなく、「発達障害」によって職場や周囲に馴染めなかった人も存在します。

なかには、Aさんのような女性やADHD特有の苦労により、ひきこもりとなってしまった人も。将来さらに親が高齢になることを踏まえると、自立を促す取り組みが必要であるといえるでしょう。

まとめ

発達障害は、非常に気がつきにくいもの。子どもの頃は「個性的」で済まされていたものが、大人になって子どもの頃と状況が異なることで、問題点が目立ってくるパターンもあります。

とくに女性の場合は、「女性ならこれが得意」「できて当たり前」といった発言によって、さらに苦しめられるということも…。こういったことの積み重ねが、ひきこもりの引き金になってしまうこともあります。

【参考】
精神保健医療福祉に関する資料」国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター
精神保健研究所 精神医療政策研究部
生活状況に関する調査(平成30年度)」内閣府

LIMO編集部