「女性ならできるはず」という言葉のつらさ。「大人の発達障害」女性特有の苦悩とは

30代女性のAさんは、学生時代から時間を守れない・忘れものが多い・生活リズムが乱れるといった行動が目立っていました。しかし、本人や周囲は「少し変わった子」「のんびり屋さん」と、捉えていたようです。

ところが、就職後は遅刻や居眠り、ミスの連続といった問題が多発し、最終的には大きなミスをきっかけに退職。その後も職を転々としましたが、失敗の多さが原因で5回も職を失いました。

ここでようやく病院を受診し、「ADHD」であることが判明します。子どもの頃は「ちょっと変わってるね」で済まされていたものが、職場では「重大なミス・問題」となってしまう場合もあります。20代後半になって初めて自分の発達障害を知ったのです。

また、女性は「気が利く」というイメージを持たれることもあります。「言わなくても分かるよね」と思われている場合も多く、上司や先輩から具体的な指示を得られず戸惑うことも。「そんなこともできないのか」と注意されるケースもあるようです。

しかしAさんは、ADHDの診断を受けてから自分に合った薬を服用したり、自助活動グループに参加したりと、新たな一歩を踏み出しました。Aさんのように生きづらさを感じている方は、病院で一度相談してみるといいでしょう。自分の特徴を理解することで、それにあった対処法や相談先が見つかるかもしれません。

「生きづらさ」により引きこもりになるケースも

Aさんのように生きづらさを感じていると、自ら社会と距離を置いてしまうケースも珍しくありません。2019年3月に内閣府が発表した「生活状況に関する調査」によると、40~64歳のひきこもりは全国に約61万人いると推定されています。

さらに、7年以上引きこもり生活を続けている割合は約半数を占めています。そして、その生活を支えているのは、34.1%が両親であるという数字も。50代の引きこもりの我が子を、80代の親が面倒を見ている「8050問題」の深刻さが感じられます。

では、そもそもなぜ引きこもりになってしまったのでしょうか。その原因は非常に幅広く、学校に行けなくなった、就職活動に失敗したというケースだけではなく、「発達障害」によって職場や周囲に馴染めなかった人も存在します。

なかには、Aさんのような女性やADHD特有の苦労により、引きこもりとなってしまった人も。将来さらに親が高齢になることを踏まえると、自立を促す取り組みが必要であるといえるでしょう。

まとめ

発達障害は、非常に気がつきにくいもの。子どもの頃は「個性的」で済まされていたものが、大人になって子どもの頃と状況が異なることで、問題点が目立ってくるパターンもあります。

とくに女性の場合は、「女性ならこれが得意」「できて当たり前」といった発言によって、さらに苦しめられるということも…。こういったことの積み重ねが、引きこもりの引き金になってしまうこともあります。

【参考】
精神保健医療福祉に関する資料」国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター
精神保健研究所 精神医療政策研究部
生活状況に関する調査(平成30年度)」内閣府

LIMO編集部

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