個人投資家の間では、9月末を基準日として配当や株主優待の権利が確定する銘柄への関心が高まる時期を迎えています。3月決算企業にとって9月末は中間期にあたるため、配当や株主優待がもらえる銘柄がこの時期に集中しているのが特徴です。
ブルボンもその一つで、7月31日に発表した2027年3月期第1四半期決算からは、同社の稼ぎ頭がどこにあるのかを読み解くことができます。
なお、同社の中間配当と株主優待は、取得条件が違います。
9月30日の株主名簿に記載されれば、保有株数に応じた中間配当(会社予想は1株22円)を受け取れます。一方、株主優待は6カ月以上の継続保有という条件があります。
これから新たに100株を買って9月30日の基準日に間に合わせても、直前の3月31日時点で株主として記録されていないため6カ月以上の条件を満たせず、11月下旬〜12月中旬に贈呈される今回分の優待はもらえない点には注意が必要です。
1. 最新決算からひも解く企業の強み
ブルボンが7月31日に発表した2027年3月期第1四半期(2026年4月〜6月)の連結決算は、売上高292億1,200万円(前年同期比+3.2%)、営業利益18億1,100万円(+18.7%)、経常利益20億4,500万円(+36.3%)、四半期純利益14億3,200万円(+41.4%)となりました。売上高の伸びに対して利益の伸びが大きく、収益性が改善していることがうかがえます。
前期にあたる2026年3月期通期(2025年4月〜2026年3月)は、売上高1,203億300万円(前期比+6.0%)、営業利益74億9,600万円(+0.3%)、経常利益80億400万円(+5.5%)、純利益59億1,300万円(+6.2%)で、いずれも過去最高を更新していました。その勢いが今第1四半期にも引き継がれている格好です。
1.1 稼ぎ頭は国内菓子事業、なかでも"ビスケット"カテゴリー
ブルボンは食品製造企業として単一セグメントで開示していますが、品目別の内訳を見ると稼ぎ頭がはっきりします。
第1四半期の売上高292億1,200万円のうち、国内菓子事業が271億9,300万円(構成比93.1%、前年同期比+3.2%)を占め、飲料・食品・冷菓・酒類・その他が12億4,100万円(構成比4.2%)、海外(輸出含む)が7億7,700万円(構成比2.7%)と続きます。
国内菓子の中でも同社がけん引役として挙げているのが、主力の"ビスケット"カテゴリーです。ラングドシャクッキー「ルーベラ」を3年ぶりに再発売してテレビCMも投入したほか、"オリジナルビスケット"シリーズ全体で拡販を図りました。
ロングセラーの「ルマンド」など価格優位性の高い定番商品に加え、選ぶ楽しさを訴求する「プチシリーズ」の認知拡大にも取り組んでおり、こうした施策が品目全体の順調な推移につながっています。
一方でチョコレート品目は大袋商品が伸び悩み、品目全体では前年同期を下回りました。キャンデー品目も競争激化の影響を受け、前年同期を下回っています。
同社は、ロングセラー商品の安心感と価格優位性の高い商品展開を軸にしつつ、品ブランドの展開拡大や機能性の付加、希少な原料を使った商品展開で多様化する消費者ニーズに対応してきたと説明しています。
節約志向が続く環境下でも、こうした「定番の強さ」と「新しい訴求軸」の組み合わせが、稼ぎ頭である国内菓子事業を支えている強みといえそうです。
2. 通期計画は増収も営業減益、原材料・包装コストの高止まりが背景に
一方で気になるのが、通期の会社計画です。2027年3月期通期の連結業績予想は、売上高1,266億円(前期比+5.2%)に対し、営業利益58億円(同▲22.6%)、経常利益60億円(同▲25.0%)、純利益41億円(同▲30.7%)と、増収ながら利益は前期の水準を下回る計画になっています。4月28日の通期決算発表時から修正はありません。
会社側は決算説明資料の中で、原料価格が高値で推移していることに加え、中東情勢の不透明さを背景とした原油価格上昇に伴う包装材料費の高騰が長期化すると想定しており、商品価格改定や設備投資による収益性改善を見込むものの、売上原価の上昇分を吸収しきれないことが増収減益予想の背景だと説明しています。
前期(2026年3月期)の営業利益増減分析でも、カカオ豆の高騰などによる原材料費増加が押し下げ要因の一つに挙げられており、原材料コストの高止まりが継続的な課題になっていることがうかがえます。
第1四半期時点の進捗率は、売上高が23.1%、営業利益が31.2%、経常利益が34.1%、純利益が34.9%で、単純な4分の1(25%)ペースを上回っています。
ただし通期計画自体にコスト高止まりが織り込まれているため、この先のペースが年間を通じて続くかどうかは今後の四半期決算で見極める必要がありそうです。