4. 家庭の支出・貯蓄を見直してみよう
ランキングを見ると、自分の地域の水準が気になるところです。ただし平均額をそのまま自分の目標に置くと、実態から離れた計画になりやすくなります。
ここでは地域の平均と自分の家計を照らし合わせるときに、確認しておきたい点を3つ挙げます。
4.1 この調査の数値は都道府県庁所在市の二人以上の世帯である
家計調査報告(貯蓄・負債編)の表8-1は、都道府県ではなく都道府県庁所在市を単位に集計しています。同じ県内でも、県庁所在市以外の地域は含まれていません。
対象も二人以上の世帯です。単身世帯は別に集計されているため、ひとり暮らしの方が自分の水準と比べる資料としては合いません。
また都道府県庁所在市ごとの集計は標本の数が限られるため、年による振れが全国の数値より大きくなります。1年分の順位だけで地域の傾向を判断しない見方が必要です。
4.2 平均額は上位の世帯に引き上げられる
貯蓄額の平均は、多く持っている世帯によって上に引っ張られます。全国の二人以上の世帯で見ると平均は2059万円ですが、貯蓄保有世帯の中央値は1264万円で、795万円低い水準です。
ランキングの数値は、その市の「ふつうの世帯」の残高ではありません。自分の位置を確かめるなら、平均額よりも中央値や分布のほうが役に立ちます。
4.3 年間収入が同じでも残る額は変わる
松山市と奈良市の例が示すように、年間収入の順位と貯蓄の順位は一致していませんでした。収入が同じでも、住居費や教育費の重さによって手元に残る額は変わります。
持家か賃貸かでも支出の形が違います。今回の調査では都道府県庁所在市ごとの持家率も公表されていて、全国の二人以上の世帯では87.0%でした。
地域の平均と比べる前に、自分の世帯で毎月いくら残っているのかを把握するところから始めるとよいでしょう。家計簿でも通帳の残高の推移でも、1年分をたどれば残せている額が見えてきます。
貯蓄をどう積み上げるかは、収入と支出の両方によって変わります。判断に迷う場合は、金融機関の窓口や公的な相談窓口で確認しておくと安心です。
5. まとめにかえて
都道府県庁所在市別の平均貯蓄額は、1位が千葉市の2951万円、最下位が那覇市の777万円で、約3.8倍の差がありました。全国の平均は2059万円です。
年間収入のランキングは1位が東京都区部の905万円で、全国平均は681万円でした。ただし貯蓄の順位と年間収入の順位は一致せず、奈良市のように収入が平均以下でも貯蓄が上位に入る市があります。
この数値は都道府県庁所在市の二人以上の世帯を集計したもので、平均額は上位の世帯に引き上げられます。地域の順位を眺めるだけでなく、自分の世帯で毎月いくら残せているかを確かめるところから始めたいところです。
参考資料
太田 彩子