家計を支えていた配偶者が亡くなった場合、遺された家族の生活を支える制度のひとつが「遺族厚生年金」です。
現在の遺族厚生年金は、亡くなった人の老齢厚生年金に含まれる「報酬比例部分の4分の3」が支給されます。所定の要件を満たす妻には、2026年度の中高齢寡婦加算として年額63万5500円も上乗せされます。
一方、2028年4月からは、子どものいない現役世代を中心に、遺族厚生年金を受け取れる期間と金額が見直される予定です。「結局いくら受け取れるのか」気になる人もいるのではないでしょうか。
この記事では、現行制度の金額と見直し内容を整理したうえで、35歳の妻が受け取る遺族厚生年金を独自に試算します。
1. 妻の遺族厚生年金は「4分の3+年63万5500円」のケースも
まずは、現在遺族厚生年金として受給できる金額を振り返りましょう。
- 年金受給額:亡くなった人の老齢厚生年金の報酬比例部分(※)の4分の3
- 中高齢寡婦加算:年63万5500円
※年金の加入期間や過去の報酬等に応じて決まるもの。年金額の計算の基礎となる。
たとえば、亡くなった人の老齢厚生年金の報酬比例部分が年額30万円の場合、遺族厚生年金として受け取れる金額は年額22万5000円になります。
もし厚生年金保険の被保険者期間が300月未満の場合でも、被保険者中の死亡など一定の受給要件に該当するときは、300月とみなして報酬比例部分を計算します。
さらに、次のいずれかに該当する妻には、40歳から65歳になるまで中高齢寡婦加算が上乗せされます。
- 夫が亡くなったときに40歳以上65歳未満で、生計を同じくする子ども(※)がいない妻
- 遺族厚生年金と遺族基礎年金を受けていた子のある妻が、子どもが18歳到達年度の末日に達した(障害の状態にある場合は20歳に達した)などの理由で遺族基礎年金を受給できなくなったとき。ただし、40歳に到達した当時に子どもがいるため遺族基礎年金を受けていた妻に限ります
※18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子ども、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の障害の状態にある子ども
なお、老齢厚生年金の受給権者や受給資格期間を満たしている夫が亡くなったときは、夫の厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある場合に限られます。
2026年度の中高齢寡婦加算は年額63万5500円で、月額に換算すると約5万2958円となります。加算対象となる妻の場合は「報酬比例部分の4分の3+中高齢寡婦加算」が、65歳になるまでの年金額となるのです。
次章では、2028年4月からの制度改正について解説します。