3. 再任用職員の月例給も改善される
60歳を超えてからの給与も調べられています。
3.1 課長補佐級は公務39万1000円・民間42万8000円
人事院の調査によると、再任用職員の平均給与月額は課長補佐級で公務39万1000円、民間の再雇用者が42万8000円でした。差は3万7000円です。
公務の数字は行政職俸給表(一)が適用されるフルタイム勤務の再任用職員のもので、令和8年3月時点です。課長補佐級は5級・6級が適用される職員を指します。
3.2 係長級は公務30万8000円・民間33万4000円
係長級では公務30万8000円に対し民間33万4000円で、差は2万6000円です。主任級以下は公務26万円、民間28万8000円で差は2万8000円でした。
3つの役職段階のいずれでも公務が下回っています。
3.3 係長級の差をもとに月例給を引き上げる
この結果を受けて、勧告では民間の再雇用者の状況を踏まえ、再任用職員の月例給を改善する内容が示されました。
再任用職員の8割以上を占める係長級の官民の給与差をベースにするとされており、行政職俸給表(一)全体の平均改定率は8.5%です。一般の職員の3.3%より大きい引上げ幅になります。
3.4 民間の数字は3年平均
民間の側は、職種別民間給与実態調査における60歳から64歳までのフルタイム勤務再雇用者の平均給与月額で、令和6年から令和8年までの各年4月時点の3年平均です。
単年の数字ではありませんので、その年の賃上げがそのまま出ているわけではない点に注意してください。
4. 令和9年度の地域手当の支給割合が決まった
勧告には手当の見直しも含まれています。
4.1 見直し後は1級地20%から5級地4%まで
地域手当の級地区分は、見直し後が1級地20%、2級地16%、3級地12%、4級地8%、5級地4%と非支給地0%です。見直し前は7級地までの区分でしたので、5区分に整理されることになります。
この見直しは令和7年度から段階的に進められているもので、今回の勧告で決まったのは令和9年度の支給割合です。
4.2 令和9年度はまだ移行の途中
引上げになる地域は、令和9年度に見直し後の割合へ到達します。見直し前は非支給地だった地域が2級地16%になる場合があり、改定幅は最大で16ポイントの引上げです。
一方、引下げになる地域は段階的に下がっていくため、令和9年度の時点では見直し後の割合に届いていないところがあります。見直し前2級地16%から見直し後3級地12%になる地域は令和9年度が13%、見直し前4級地12%から見直し後4級地8%になる地域は令和9年度が9%です。
見直し前7級地3%から非支給地になる地域は、令和9年度に0%となります。住んでいる地域や勤務地によって上下が分かれます。
4.3 転居に関する手当が新設される
令和9年4月施行で、転居に関する手当が新設されます。単身赴任者に限らず、転居を伴う転勤を行った職員を広く対象とする手当です。
支給額は距離区分別で、単身赴任手当の基礎額が支給される方の場合、60キロ以上100キロ未満で月1万1000円、300キロ以上500キロ未満で月3万円、最も遠い2500キロ以上で月10万5000円です。それ以外の方は同じ距離区分で月6000円から月4万3000円になります。
支給期間は異動から3年間です。単身赴任者には、この手当とは別に、二重生活の生計費を補助する単身赴任手当が月3万円支給されます。
5. 確かめておきたい3つのこと
数字を読むときに押さえておく点をまとめます。
5.1 較差は行政職俸給表(一)の職員で測っている
較差の1万5056円は、行政職俸給表(一)が適用される職員13万9564人の平均給与月額をもとに計算されたものです。
医療職や教育職など他の俸給表が適用される職員の給与は、この平均には含まれていません。
5.2 調査対象の事業所数を見ておく
民間側の調査は8144事業所で完了しています。企業規模別では3000人以上が1673所、1000人以上3000人未満が1211所、500人以上1000人未満が1257所、100人以上500人未満が4003所です。
標本として抽出した1万77所から、企業規模や事業所規模が調査対象外と判明した205所を除いた9872所に対して、調査完了率は82.5%でした。母集団は企業規模100人以上で、かつ事業所規模50人以上の事業所ですので、それより小さいところは入っていません。
5.3 勧告がそのまま決まるわけではない
人事院の勧告は国会と内閣に対して行われるもので、実際の給与は法律の改正によって決まります。
勧告の内容がどう反映されるかは、その後の手続きを見る必要があります。数字は勧告時点のものとして受け取ってください。
6. 国家公務員の給与は民間の調査から逆算して決まる
令和8年8月7日の人事院勧告によると、民間給与44万3507円に対し国家公務員給与は42万8451円で、較差は1万5056円、率にすると3.51%です。定期昇給分を加えると月収で約4.9%の改善になるとされています。
期末手当・勤勉手当は、民間の年間平均4.72月分に対し国家公務員の現行が平均4.65月で、4.70月に引き上げる内容が示されました。0.05月単位で改定する仕組みのため、引上げ幅は0.05月分です。
再任用職員では課長補佐級が公務39万1000円・民間42万8000円と3つの役職段階すべてで公務が下回っており、月例給を改善する内容が示されています。地域手当は令和9年度の支給割合が設定され、令和9年4月からは転居に関する手当も新設されます。
参考資料
中本 智恵