2026年7月末には1ドル=163円台後半まで円安が進みましたが、7月30日に実施された当局による為替介入をきっかけに157円台まで急落しました。

その後はじわじわと円安方向に戻り、8月には再び160円台に接近する場面もありましたが、9月8日午前12時時点では155円のサポートラインを下抜け、1ドル=154円を割り込み153円前半まで円高が進んでいます。

ドル円相場の推移1/3

ドル円相場の推移

出所:TradingView

短期間でこれだけ大きく為替が動くと、NISAで人気の高い「オルカン(全世界株式)」や「S&P500」に積立投資をしている人のなかには、不安を感じている人も少なくないでしょう。ここでは、なぜ相場の変動に一喜一憂して積立を止めなくても大丈夫と考えられるのか、その理由を確認していきます。

1. 円安から一転、円高の局面に不安を感じている積立投資家も多い

オルカンやS&P500はここ数年、比較的良好なパフォーマンスが続いてきました。その背景の一つには、円安の進行が挙げられます。

1.1 オルカンやS&P500は「円安」の追い風も受けてきた

オルカンやS&P500はいずれも外貨建て資産に投資する商品であり、円換算のリターンには為替の影響が含まれます。円安が進む局面では、現地通貨ベースのリターンに加えて為替差益も上乗せされる形になるため、円換算の基準価額はより大きく上昇しやすくなります。逆に、円高が進む局面では、現地の株価が同じように推移していても、円換算のリターンは目減りしやすくなります。

1.2 円高が当面続くのか、先行きは不透明

今回のような円高が一時的なものなのか、しばらく続くのかは、金利差や金融政策、地政学的な要因なども絡むため、専門家の間でも見方が分かれます。先行きが読めないからこそ、目先の値動きに応じて積立を止めたり再開したりする判断は難しく、かえって投資のタイミングを見誤るリスクもあります。

2. 相場の変動に一喜一憂して積立を止めなくても大丈夫と考えられる理由

結論から言うと、為替や株価が短期的にどう動いても、積立投資そのものを止める必要性は高くないと考えられます。その理由は主に3つあります。1つ目は値動きが資産クラスによってバラバラであること、2つ目は積立投資が時間を味方にできること、そして3つ目はドルコスト平均法の効果が働くことです。順番に見ていきましょう。

3. 【理由①】値動きは資産クラスによってバラバラ、海外株式が悪くても他の資産が良いこともある

まず押さえておきたいのが、どの資産クラスのパフォーマンスが良くなるかは、年によって大きく入れ替わるという点です。

3.1 特定の資産クラスが常に好調とは限らない

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が公表している資料でも、国内株式・国内債券・外国株式・外国債券という主要4資産について、同じ資産クラスが毎年上位、あるいは毎年下位に居続けるわけではないことが示されています。ある年に大きく値上がりした資産クラスが、翌年には値下がりに転じるということも珍しくありません。

先進国株式・国内株式・新興国株式・海外REIT・国内REIT・新興国債券・海外債券・国内債券というように資産クラスを細かく分けてみても、同じ傾向が見られます。下の図は特定の統計データではなく、資産クラスごとの順位が年によって大きく入れ替わることを示す概念図です。

資産クラス別パフォーマンス順位の入れ替わり(イメージ)2/3

資産クラス別パフォーマンス順位の入れ替わり(イメージ)

出所:GPIF「分散投資の意義①1位になる資産は当てられない」を参考に編集部作成(特定の年次データを示すものではない概念図)

3.2 特定の資産に集中させないことが値動きの振れ幅を抑える鍵に

オルカンは国内を除く先進国・新興国の株式に、S&P500は米国株式に、それぞれ広く分散して投資する商品です。株式という資産クラスの中では既に分散が効いていますが、株式以外の資産(債券やREITなど)や、為替の影響を受けにくい国内資産と組み合わせることで、資産全体としての値動きの振れ幅をさらに抑えることもできます。

和田直子
オルカンやS&P500は過去数年、良好なパフォーマンスが続いてきましたが、値動きの良い資産は年によって入れ替わるのが実情です。特定の資産クラスに偏った投資を続けていると、その資産が不調な局面で資産全体が大きく目減りするリスクがあります。複数の資産に分けておくことで、値動きの振れ幅を穏やかにすることができます。