9月に大綱が決定され、臨時国会に法案が提出される見込みです。飲食料品の消費税率を1%に引き下げる話が、制度として形になる段階に入ります。

ただし、この引下げには期限があります。令和9年4月から2年間で、令和11年4月には元の8%に戻すとされています。

筆者は銀行で個人のお客さまの相談を受けてきました。この記事では、税率がいつどう動くのか、そして8%に戻るときの負担についてどう説明されているのかを見ていきましょう。

中本 智恵
今回は「いつから」と同じくらい「いつまで」が大事な話です。下がる時期と戻る時期、そのあいだに始まる給付。この3つが別々の日付で示されているので、家計に落とすときは順番に並べて見ておくと混乱しにくくなります。

なお、令和11年度に本格導入される給付の仕組みについては、下記の記事より一部を引用・参照しています。本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。

【2026年8月最新】給付付き税額控除とは?いつから・いくらもらえる?「給付一本化」への転換と今後のスケジュール
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1. 飲食料品の消費税率は令和11年度に8%へ戻る

まず、税率がいつどう動くのかを確認します。

1.1 1%になるのは令和9年4月から2年間

首相官邸が公表している令和8年7月30日の会見によると、飲食料品の消費税率1%への引下げを令和9年4月より2年間先行させるとされています。

その後、令和11年4月から所得に連動したきめ細かな給付が本格導入されることに合わせて、飲食料品の消費税率は元の税率である8%に戻すとされています。期限のある引下げということになります。

1.2 消費税を導入して以来はじめての減税

会見では、今回の飲食料品の消費税率の引下げは、日本で消費税を導入して以来、初めての消費税減税になるとされています。

1989年の導入から一度も下がったことがない税率が、期間を限って下がる形です。

1.3 0%ではなく1%にしたのは事業者の準備のため

なぜ0%ではないのかも説明されています。1%であれば0%とするよりも事業者のシステム改修の期間を短縮でき、令和9年4月から実施可能であることが明らかとなったとされています。

ゼロにするほうが分かりやすい一方で、レジや受発注の仕組みを直す時間が長くかかるという整理です。

1.4 1%の期間中に給付が先行導入される

ここが見落とされやすい部分です。1%の2年間は、税率が下がるだけの期間ではありません。

会見では、支援の十分性を確保しつつ中所得・低所得の方に手厚く対応するとともに、消費税率を元に戻していく際に合わせて本格導入される給付制度の予見可能性を高めるという観点から、飲食料品に係る消費税1%の範囲内で、令和9年6月以降、所得に連動したきめ細かな給付を先行導入するとされています。

先行導入の時期が6月になっているのは、令和9年6月の住民税賦課決定後に導入することを予定しているためと説明されています。

そして、こうした組み立てによって飲食料品にかかる消費税の実質ゼロ化を実現するのが議長案であり、支援の在り方としては最善の方法であるとされています。つまり、税率としては1%が残りますが、給付を合わせることで実質的にゼロにするという考え方です。

負担軽減の届き方は2段階で変わります1/2

【写真1枚目/全2枚】飲食料品の消費税率1%引下げと給付の先行導入。負担軽減の届き方は2段階で変わる

出所:首相官邸「『飲食料品に係る消費税率の引下げ』及び『給付付き税額控除』についての会見」をもとにLIMO編集部作成

2. 8%に戻るとき負担は増えないのか

次に、いちばん気になる点を確認します。

2.1 大幅な負担増が生じるのではないかという指摘があった

会見では、飲食料品の消費税率を元の税率である8%に戻す際に大幅な負担増が生じるのではないか、という懸念が取り上げられています。

1%で2年間過ごしたあとに8%に戻るのですから、その時点だけを見れば買い物の負担は上がります。

2.2 「上回る支援」を受けられるとされている

これに対する説明が示されています。飲食料品の消費税率が1%から8%となる令和11年度から本格導入される所得に連動したきめ細かな給付は、中所得・低所得の現役勤労者に着目して、所得に応じこれまでより手取りが増えるようにすることを目的としているとされています。

その結果、給付の対象となる中所得・低所得の現役勤労者の大宗については、飲食料品の消費税率引下げの効果を上回る支援を受けられることから、懸念は当たらないと考えているとされています。

2.3 「大宗」という書き方に留意する

ここで使われているのは「大宗」という言葉です。対象となる方のすべてではなく、大部分という意味になります。

また、上回る支援を受けられるとされているのは給付の対象となる方についてです。対象外となる方については、会見で2つに分けて説明されています。

ひとつは、勤労意欲のある低所得の方です。給付の対象外で支援が必要な方を丁寧に把握した上で、既存の社会保障制度での対応も含め必要な対応の在り方を検討し、可能なものについては令和11年度からに合わせて実施できるように、本格導入までに結論を得るとされています。

もうひとつは、就労していない高齢者の方です。年金制度などの既存の制度での対応との関係の整理を含め必要な対応の在り方を継続検討し、次期年金法改正が予定されている令和12年までに結論を得るとされています。

いずれも、いま結論が出ているわけではないという点は押さえておきたいところです。

8%に戻すことへの懸念と、示されている説明です2/2

【写真2枚目/全2枚】飲食料品の消費税率を8%に戻す際の懸念と、示されている説明

出所:首相官邸「『飲食料品に係る消費税率の引下げ』及び『給付付き税額控除』についての会見」をもとにLIMO編集部作成

2.4 本格導入される給付は「現金給付一本化」で検討されている

では、8%に戻るときに始まる給付とはどういうものなのでしょうか。もともと「給付付き税額控除」として議論されてきた制度で、給付付き税額控除の仕組みとスケジュールを整理した記事では、現在の検討状況が次のようにまとめられています。

  • 複雑な「税額控除」は避けられ、マイナンバーを活用した「現金給付一本化」へシフトしている。
  • スケジュールは、2027年度に先行実施(簡易版)、2029年度に本格導入を目指す方向。
  • 今できる対策は、「公金受取口座」の登録を完了させておくこと。未登録は給付遅れや受給漏れに直結する可能性がある。

2027年度が令和9年度、2029年度が令和11年度です。会見で示された先行導入と本格導入の時期は、この検討の流れの上にあります。

中本 智恵
税率が下がる話と戻る話はセットで示されています。下がる時期だけを見て家計を組むと、戻ったときに慌てることになります。振込先の口座が登録されていないと給付が遅れうるという点も、いまのうちに確かめておける部分です。なお、給付の対象になるかどうかは所得や世帯の課税状況で判定される見込みですので、住民税非課税世帯の収入ボーダーラインのような線引きの考え方も、あわせて知っておくと見通しが立てやすくなります。