ニュースやワイドショーの年金の話で、最初に目にするのは平均額ではないでしょうか。厚生年金なら月15万円ほど、という数字を目にしたことがある方は多いと思います。
今回は、厚生労働省の統計から、月15万円以上を受け取っている人が何%いるのかを男女別に確認します。
そのうえで、足りない分をどう埋めるかを考えつつ、2026年12月に大きく変わるiDeCoの話まで見ていきます。
なお、厚生年金と国民年金の平均受給額については、下記の記事より一部を引用・参照しています。本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。
1. 【偶数月の15日は年金支給日】2026年度の年金額と制度の基本
まずは、日本の公的年金制度の仕組みと今年度の金額をおさらいします。
1.1 公的年金制度の仕組みと2026年度の改定率
日本の公的年金は2階建て構造となっています。1階部分の国民年金は20歳以上60歳未満のすべての人が加入し、保険料は2026年度で月額1万7920円の一律です。
40年間納めると満額で月額7万608円(2026年度基準)になります。
2階部分の厚生年金は会社員や公務員が加入し、現役時代の収入と加入期間に応じて上乗せされます。
なお、2026年度の年金額は4月分から改定されました。改定率は国民年金(基礎年金)が1.9%の引き上げ、厚生年金(報酬比例部分)が2.0%の引き上げです。
- 国民年金(老齢基礎年金・満額):月額7万608円(1人分 ※1)
- 厚生年金(夫婦2人分のモデルケース):月額23万7279円(夫婦2人分 ※2)
※1 昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額7万408円(前年度比+1300円)となります。
※2 平均的な収入(賞与込みで月額換算45万5000円)の男性が40年間就業した場合に受け取り始める年金額(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金満額)の給付水準です。
厚生労働省が示すモデルケースでは、夫婦2人分の標準的な年金額が月額23万7279円となっています。
ただし、改定の根拠となった数字も見ておく必要があります。同じ資料によると、2026年度の物価変動率は3.2%、名目手取り賃金変動率は2.1%で、そこからマクロ経済スライドによって基礎年金は0.2%、厚生年金の報酬比例部分は0.1%調整されました。
物価の伸びよりも年金の伸びが小さいということです。増額改定ではあるものの、実質的な購買力という点では目減りしている点は押さえておきたいところです。
1.2 支給は偶数月の15日、10月は8月分と9月分
公的年金は偶数月の15日に、前月までの2カ月分がまとめて支払われます。2026年10月15日は木曜日で、この日に8月分と9月分が振り込まれます。
15日が土日祝日にあたる場合は、直前の平日に繰り上げて支払われます。2026年度でいえば、8月15日は土曜日だったため前倒しになりました。10月は木曜日ですので、暦どおりの支給です。
2. 国民年金+厚生年金で月15万円以上は49.8%
厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」には、老齢年金の受給権者を年金月額1万円刻みで区切った分布表が載っています。ここから、月15万円以上の割合を見てみましょう。
【平均年金月額】
- 全体 15万289円
- 男性 16万9967円
- 女性 11万1413円
※国民年金部分を含む
【受給額ごとの受給権者数】
- ~1万円:4万3399人
- 1万円以上~2万円未満:1万4137人
- 2万円以上~3万円未満:3万5397人
- 3万円以上~4万円未満:6万8210人
- 4万円以上~5万円未満:7万6692人
- 5万円以上~6万円未満:10万8447人
- 6万円以上~7万円未満:31万5106人
- 7万円以上~8万円未満:57万8950人
- 8万円以上~9万円未満:80万2179人
- 9万円以上~10万円未満:101万1457人
- 10万円以上~11万円未満:111万2828人
- 11万円以上~12万円未満:107万1485人
- 12万円以上~13万円未満:97万9155人
- 13万円以上~14万円未満:92万3506人
- 14万円以上~15万円未満:92万9264人
- 15万円以上~16万円未満:96万5035人
- 16万円以上~17万円未満:100万1322人
- 17万円以上~18万円未満:103万1951人
- 18万円以上~19万円未満:102万6888人
- 19万円以上~20万円未満:96万2615人
- 20万円以上~21万円未満:85万3591人
- 21万円以上~22万円未満:70万4633人
- 22万円以上~23万円未満:52万3958人
- 23万円以上~24万円未満:35万4人
- 24万円以上~25万円未満:23万211人
- 25万円以上~26万円未満:15万796人
- 26万円以上~27万円未満:9万4667人
- 27万円以上~28万円未満:5万5083人
- 28万円以上~29万円未満:3万289人
- 29万円以上~30万円未満:1万5158人
- 30万円以上~:1万9283人
出所:【国民年金+厚生年金】月15万円(年180万円)以上もらう人は何%?平均受給額を一覧で確認!私的年金の見直しで押さえておきたいポイント
2.1 全体では約2人に1人
2024年度末時点の厚生年金保険(第1号)の受給権者は1608万5696人。このうち月15万円以上の階級を合計すると801万5484人で、割合は49.8%になります。
平均年金月額は15万289円ですから、15万円という水準は受給権者全体をほぼ半分に分ける位置にあります。
なお、この金額には併給する老齢基礎年金が含まれています。
2.2 男女で分けると68.8%と12.3%
同じ表を男女別に集計し直すと、様子が変わります。
- 男性:1067万9944人のうち68.8%が月15万円以上
- 女性:540万5752人のうち12.3%が月15万円以上
男性はおよそ7割が届いている一方、女性は8人に1人ほどです。全体の49.8%は、この2つを合わせた結果として出てきた数字にすぎません。
厚生年金額は現役時代の報酬や加入期間によって決まります。特に現在の高齢世代では、男女の賃金差や就業期間、出産・育児などによる就業中断の違いが、受給額の差に表れていると考えられます。
2.3 最も人数が多いのは月10万円台前半
もうひとつ押さえておきたいのが、最も人数の多い階級です。総数で見ると月10万円以上11万円未満が111万2828人で最多でした。平均の15万289円とはかなり離れています。
男女別では、男性の最頻階級が月18万円以上19万円未満、女性が月10万円以上11万円未満です。分布の形そのものが違います。
平均額は高い層に引き上げられるため、老後の設計を立てるときは、平均ではなく自分の見込額の確認から始めてください。

