3. 被保護者の義務に違反したときも、処分の前に弁明の機会が与えられる
第62条には、義務に違反したときの扱いも続けて書かれています。
保護の実施機関は、被保護者が第62条第1項・第2項の義務に違反したときは、保護の変更、停止または廃止をすることができるとされています。
ただし条文はそこで終わりません。第62条第4項は、変更・停止・廃止の処分をする場合には、当該被保護者に対して弁明の機会を与えなければならないと定めています。
この場合はあらかじめ、処分をしようとする理由と、弁明をすべき日時および場所を通知しなければならないとも書かれています。
4. 保護の決定に納得できないときは都道府県知事に審査請求ができる
保護の決定や実施に関する処分に不服がある場合の手続きは、生活保護法の第11章に置かれています。
市町村長が委任した行政庁の処分についての審査請求は、都道府県知事に対して行うものとされています。
裁決までの期間も条文に書かれています。第65条は、行政不服審査法にもとづく諮問をする場合は70日以内、それ以外の場合は50日以内に裁決をしなければならないと定めています。
この期間内に裁決がないときは、審査請求を棄却したものとみなすことができるという規定もあります。都道府県知事の裁決に不服がある場合は、厚生労働大臣に対して再審査請求ができます。
5. 資力がありながら保護を受けたときは費用を返還する
第63条は費用返還義務を定めています。
被保護者が急迫の場合等において、資力があるにもかかわらず保護を受けたときは、費用を支弁した都道府県または市町村に対して、速やかに返還しなければならないとされています。
返還する額は、受けた保護金品に相当する金額の範囲内で、保護の実施機関が定めるものと書かれています。
第61条の届出の義務と第63条は、内容としてつながっています。収入や世帯の状況が変わったときに速やかに届け出ておくことが、あとから返還を求められる場面を減らすことにつながります。
6. 条文を確かめるときは、条番号を控えて窓口に持っていく
ここまで見てきた条文は、いずれもe-Gov法令検索で読めます。
生活保護法は昭和25年法律第144号で、記事執筆時点の現行法は令和8年6月25日施行のものです。第56条から第63条までが第10章、第64条から第69条までが第11章にあたります。
窓口で説明を受けるときに、気になっている条番号を控えて持っていくと、話が具体的になります。
また、本人だけで抱え込まず、同居していない家族とも決定通知書の内容を共有しておくと、届出が必要な変更を見落としにくくなります。
7. 保護費に税金はかからない。権利と義務は同じ章に書かれている
生活保護法は第56条から第59条までで、不利益変更の禁止、公課禁止、差押禁止、譲渡禁止という4つの権利を定めています。受け取った保護費に租税その他の公課が課されることはありません。
同時に第60条から第62条までで、生活上の義務、届出の義務、指示等に従う義務の3つが定められています。
義務違反による処分の前には弁明の機会があり、決定に不服があれば都道府県知事への審査請求ができます。権利と義務は同じ章に並んで書かれている、と押さえておくとよいでしょう。
参考資料
- e-Gov法令検索「生活保護法」
- 厚生労働省「生活保護制度」
- 厚生労働省「被保護者調査(令和6年度確定値)」