厚生労働省の消費支出額はあくまでも平均値であり、目安にすぎません。実際に必要となる老後資金の額はそれぞれの生活環境や生活レベルによって異なります。とはいえ、「定年までにこんなに貯められるかな」と戸惑う人もいるのではないでしょうか。

ビジネスが大成功したり宝くじに当たったりしないかぎりは、通常短期間に大金を作ることはできません。長い時間をかけてコツコツと貯蓄を増やしていく必要があるのです。そのため、できるだけ早く資産形成を始めることがポイントになってきます。

社会人になったら3つのステップを意識しよう

社会人になって自分でお金を稼げるようになったら、3つのステップを意識して効率的に貯蓄を増やしましょう。

■ステップ1:節約で支出を減らす

節約は貯蓄の基本です。いくら収入が多くても、支出がそれを上回っていれば貯蓄はできません。買い物をするときは値段に関係なく、「それが本当に必要なのか」を考える習慣をつけましょう。レシートや支払い明細書の内容を見直すようにすると、自分が無意識にしている「無駄遣いのクセ」に気づきやすくなります。

とはいえ、むやみに節約をすれば良いというわけではありません。過剰な節約はストレスにつながりやすく長続きしないのです。節約のコツは「お金の使い方にメリハリをつけること」です。「自分にとって価値あるものだ」と思えるものにお金を使い、そうでない部分では節約を心がけましょう。

たとえば、スマートフォンで映画鑑賞をするのが趣味だという場合、動画の有料配信サービスやWi-Fiサービスにはお金をかける一方で、ファッションやコスメにはプチプラブランドを利用する、といった具合です。

■ステップ2:収入を増やす

3つのステップのうち、最もハードルが高いのが収入を増やすことかもしれません。まずは、週末や空き時間を利用して副業を始めたり、資格を取得したりといったところから始めてみてはいかがでしょうか。

■ステップ3:貯めたお金を増やす

日本人には投資に苦手意識を持つ人が多いといわれています。しかし、長引く低金利政策の影響で、銀行にお金を積み立てているだけでは資産を効率的に増やせません。個人型確定拠出年金のiDeCoや少額投資非課税制度のNISA、つみたてNISAなどのように、節税対策にもなる資産運用の制度も登場しているので賢く利用しましょう。

「自分でお金を増やしていく」という意識を持たないと、老後資金の問題を解決できない時代が来ているのかもしれません。定期的に買い物の習慣を見直して、メリハリのあるお金の使い方を意識しながら長期的な資産形成に取り組んでいきましょう。

【参考】
『平成31年度の年金額改定についてお知らせします』厚生労働省
『家計調査報告(家計収支編)-2018年(平成30年)平均結果-(二人以上の世帯)』総務省統計局

【ご参考】貯蓄とは

総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。

 

LIMO編集部