4. 「届く基準」と「所得税が源泉徴収される基準」は別物
申告書が届いたからといって、必ずしも所得税が源泉徴収されているとは限りません。「届く基準」とは別に、実際に所得税が天引きされるかどうかを決める基準があります。
4.1 令和9年分の所得税基準は164万円・214万円・137万円
所得税が源泉徴収される基準額は、基礎控除の引き上げにともない、令和8年分から令和9年分にかけて引き上げられました。令和8年分は65歳未満155万円以上・65歳以上205万円以上・退職共済年金127万円以上でしたが、令和9年分は65歳未満164万円以上・65歳以上214万円以上・退職共済年金137万円以上になっています。
4.2 「届く基準」と「所得税の基準」の早見表
2つの基準は数字も意味も異なるため、下記の一覧で整理しておきましょう。
たとえば65歳以上で老齢年金が年160万円の方は、所得税が源泉徴収される214万円という基準には届いていませんが、届く基準である148万円は超えているため、申告書自体は送付されます。「所得税の基準に届いていないから自分には関係ない書類だ」と判断せず、届いた場合は内容を確認しましょう。
5. 迷ったら、公式のフローチャートで確認を
「自分は提出したほうがいいのか」を素早く判断したい場合は、日本年金機構が公開しているフローチャートを確認するとよいでしょう。
年金額や家族構成をあてはめていくだけで、提出の要否を確認できます。判断に迷ったときは、こちらもあわせて活用してみてください。
6. 「紙で来る人」と「電子の案内が来る人」の違い
扶養親族等申告書は、原則としてすべての対象者に紙の書類が郵送されますが、一定の条件を満たす方には、電子申請の案内もあわせて届きます。
6.1 電子申請で提出すると、翌年以降は「ペーパーレス化」される
マイナポータルを通じて電子申請で申告書を提出すると、翌年以降は紙の申告書の送付が省略され、マイナポータルへの通知のみが届く「ペーパーレス化」の対象になります。ペーパーレス化の対象になっている方が提出期限までに提出しなかった場合は、あらためて書面で案内が届く仕組みになっています。また、まだ一度も電子申請をしたことがない方でも、あらかじめ「ペーパーレス化登録」をしておけば、紙の送付を省略してもらうことも可能です。
6.2 電子申請の対象外になる人は、紙の提出のみ
次の方は、電子申請の対象外となるため、これまでどおり紙の申告書での提出が必要です。(1)旧法老齢年金(昭和61年3月31日以前に受給権が発生した老齢年金。旧公社共済や農林共済からの記録移管分などを除く)を受給している方、(2)国外に居住する配偶者や親族を控除対象とする方、の2つです。(1)はねんきんネットが利用できないため、(2)は控除に添付書類が必要になるためで、これらに該当する場合は案内の届き方にかかわらず紙で提出することになります。
7. 結論:どちらの案内で来ても、提出方法はどちらでも選べる
ここまでの内容を整理すると、申告書の「届き方」と「提出方法」は別のものだとわかります。
7.1 紙で届いても、電子申請で提出してよい
紙の申告書が届いた場合でも、電子申請の対象外に当てはまらない限り、マイナポータルを使って電子申請で提出することができます。切手代がかからず、申告内容や受付状況も画面で確認できるため、パソコンやスマートフォンの操作に慣れている方には便利な方法です。
7.2 ペーパーレス化されていても、紙の提出に戻せる
逆に、すでにペーパーレス化されていて紙の送付がない方でも、紙での提出を希望する場合は、ペーパーレス化の解除を申し出れば、翌年以降また紙の申告書が郵送されるようになります。自分にとって書きやすい・出しやすい方法を、そのつど選んで問題ありません。
8. まとめ
扶養親族等申告書は、令和9年分(令和8年秋送付分)から住民税の控除もあわせてカバーするようになり、65歳未満で年98万円以上、65歳以上で年148万円以上(退職共済年金の受給者は70万円以上)の老齢年金を受け取っている方に送付されるようになりました。これは、所得税が源泉徴収される基準(令和9年分は65歳未満164万円以上・65歳以上214万円以上)とは別の、より広い基準です。
「届く基準」と「所得税の基準」を混同せず、届いた書類は内容を確認したうえで、該当する控除があれば期限内に提出しましょう。紙で届いても電子で提出でき、電子申請の対象外となる一部の方を除けば、提出方法は自分の都合に合わせて選べます。
参考資料
和田 直子
