4. 先行導入が令和9年6月以降になる理由
経過措置として先に始まる給付についても、時期の根拠が示されています。
4.1 住民税の賦課決定を待つ
高市総理は令和8年7月30日の会見で、先行導入予定の所得に連動したきめ細かな給付について、現時点で公的機関が保有する所得情報等を活用して、令和9年6月の住民税賦課決定後に導入することを予定していると述べています。
消費税率の引下げが4月からなのに給付が6月以降になるのは、住民税の賦課が決まるのを待つためです。
4.2 既にある所得情報を使う
先行導入では、現時点で公的機関が保有する所得情報等を活用するとされています。新しく情報を集める前に、いまある情報で始める形です。
この点が、本格導入までに時間がかかる理由とも関わってきます。
5. 本格導入に令和11年度までかかる理由
なぜ令和11年度まで待つのかも会見で説明されています。
5.1 配偶者と16歳から18歳の情報が必要
会見では、真に公平な給付を実現するには、高所得の配偶者の所得を把握することとともに、子育て世帯への支援の観点から16歳から18歳の被扶養者の情報を把握した上で本格導入する必要があり、それには一定の期間を要するとされています。
世帯の状況をより細かく見るために、把握する情報を増やす必要があるという説明です。
5.2 情報を集める体制づくりが関わる
どの情報を誰が把握し、どう突き合わせるかは、執行体制の設計と切り離せません。国と地方の役割分担の協議も、この点に関わってきます。
先行導入がいまある情報で始まり、本格導入が2年後になるのは、この違いによるものです。
6. 3つの日付を分けて押さえる
報道を追いかけるときの整理のしかたを挙げておきます。
6.1 4月・6月・令和11年度で意味が違う
令和9年4月が飲食料品の消費税率の引下げ、令和9年6月以降が給付の先行導入、令和11年度が本格導入です。報道ではこの3つが混ざって語られることがあります。
どの日付の話なのかを分けて読むと、示された案が消費税の側なのか給付の側なのかを見分けやすくなります。
6.2 執行体制の話は別の系統で進む
金額や対象の議論は大綱と国会審議で進みますが、誰が手続きの窓口になるかは国と地方の協議の場で進みます。2つは別の系統です。
手続きの窓口が決まれば市区町村から案内が出ますので、いまの時点で自治体に問い合わせても案内できる内容はまだありません。制度が固まるのを待つのが確実です。
7. 給付を届ける体制は国と地方の協議で決まる
給付付き税額控除の執行に係る主体については、国と地方が協力して運営し、オールジャパンの事務負担を最小化していくという基本的な考え方の下、役割分担をしていく方向で検討が行われています。
地方に役割を求めていく際には、制度設計や地方の役割を明確にした上で、国と地方の間の丁寧な協議を行うこととされています。そのための協議の場が設けられています。
本格導入は令和11年度で、それまでの経過措置として令和9年4月から2年間、飲食料品の消費税率が1%になります。給付の金額や手続きの窓口はまだ決まっていませんので、9月の大綱と臨時国会での審議を待つことになります。
参考資料
中本 智恵