給付付き税額控除は、令和11年度から導入される予定です。物価高への対応と説明されることが多いのですが、狙いはもう1つあります。
「年収の壁」による働き控えを緩和し、就労促進につなげるという点です。高市総理は令和8年7月30日の会見でこの2つを並べて挙げています。
この記事では、会見で語られた制度の狙いと、その背景にある「純負担率」という考え方を確認していきます。
1. 給付付き税額控除の狙いは2つある
まず、何のための制度なのかを確認します。
1.1 手取りが増えるようにする
高市総理は会見で、この制度により中所得・低所得の現役勤労者の負担を軽減し、これまでよりも手取りが増えるようにすると述べています。
内閣官房の資料でも、中低所得の現役勤労者に着目して、その負担軽減を通じて所得に応じた手取りが一層増えるようにすることが挙げられています。
1.2 「年収の壁」による働き控えを緩和する
もう1つの狙いが就労の面です。会見では、いわゆる「年収の壁」などによる働き控えを緩和し、就労促進という喫緊の課題にも対応できるとされています。
内閣官房もこの2点を喫緊の課題として並べています。負担を軽くするだけでなく、働く時間を抑える動きをやわらげることまでが射程に入っています。
2. 背景にあるのは「純負担率」という指標
次に、なぜこの制度が本丸とされたのかを見ていきます。
2.1 負担から給付を引いて世帯収入で割る
会見では、負担から給付を引いた値を世帯収入で割った「純負担率」が諸外国に比べて高くなっていると説明されています。
税や社会保険料を払う一方で受け取る給付もあるため、その差し引きを収入で割った割合で見るという考え方です。
2.2 中所得・低所得の方の負担軽減が最重要課題という認識
この純負担率が高いことを背景に、物価高や税・社会保険料負担に苦しんできた中所得・低所得の方の負担軽減が現下の最重要課題であると認識しているとされています。
内閣官房の資料では、諸外国との比較を通じて純負担率の改善が必要であることが明らかになったと記されています。
給付付き税額控除には2つの狙いが示されています1/2
出所:首相官邸「飲食料品に係る消費税率の引下げ及び給付付き税額控除についての会見」および内閣官房「飲食料品に係る消費税率の引下げ及び給付付き税額控除(政府の基本方針)について」をもとにLIMO編集部作成
3. 一律の金額での給付とは違う仕組みとされている
これまでの給付との違いも説明されています。
3.1 これまでは一律の金額での給付だった
会見では、国民全員や一部の方のみを対象とした一律の金額での給付には批判の声が多かったとされています。
給付付き税額控除は、これとは異なるものと位置づけられています。
3.2 負担と給付を総合的に捉える
新しい制度については、税・社会保険料負担と現金給付を総合的に捉え、所得等に応じたきめ細かな支援を届けるという点で画期的な意義を有するものと述べられています。
払う側と受け取る側を別々に見るのではなく、あわせて見る設計だという説明です。
消費税が下がる話として受け取られがちですが、制度の本体は給付のほうです。狙いを知っておくと、これから出てくる報道の読み方が変わります。
