積立を始めた人がまず気にするのは、将来いくらになるかです。月3万円を20年続ければ、出したお金は720万円。そこにどれだけ上乗せされるのか。
本記事では、月3万円ずつ積み立てた場合、20年後にいくらになるのかを利回り別にシミュレーションします。そして、その資産をどう取り崩すのか、出口まで一続きで見ていきます。
1. 元本720万円は20年でいくらになるか
金融庁の「つみたてシミュレーター」に、毎月の積立金額3万円、積立期間20年を入れ、想定利回りだけを変えて計算しました。出したお金は3万円×12か月×20年で720万円です。
1.1 利回り3%なら981万円、7%なら1523万円
シミュレーション結果は以下のようになりました。
- 利回り3%:981万円(運用収益261万円)
- 利回り5%:1217万円(運用収益497万円)
- 利回り7%:1523万円(運用収益803万円)
3%でも元本の1.36倍、7%なら2.12倍です。同じ720万円を出しても、着地は542万円ちがいます。
利回りの差が生む金額も見ておきます。3%から5%に上がると236万円増え、5%から7%では306万円増えます。同じ2ポイントの差でも、水準が高いほうが金額は大きくなります。
1.2 差をつくっているのは「複利」
後半になるほど伸びる理由は、複利による効果です。
複利とは、運用によって得た利益が元本に組み込まれ、その利益にもさらに利益がついていく仕組みを指します。運用期間が長くなるにつれて利益が積み重なり、後半になるほど資産の増え方が加速していきます。
ここに、積立を続けるかどうかの分かれ目があります。始めて数年は、預金と比べて大きな差が出ません。増えている実感がないまま5年、10年と続けられるかどうかで、20年後の数字が決まります。
なお、これらはあくまで一定の利回りが続いた場合の計算です。実際の相場は年ごとに上下し、平均するとこの水準になった、という形でしか結果は出ません。
2. 【新NISAのメリット】非課税だから残る金額
新NISAの効果は、増えた分に税金がかからないことです。金額にするとどれくらいか、計算してみます。
2.1 課税口座なら運用益に20.315%
上場株式や投資信託の運用益には、20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)がかかります。同じ運用成績でも、課税口座なら次のように目減りします。
- 利回り3%:運用益261万円 → 税は約53万円
- 利回り5%:運用益497万円 → 税は約101万円
- 利回り7%:運用益803万円 → 税は約163万円
利回り5%で1217万円まで増えた資産を20年後に全額売却し、497万円の利益を実現したと仮定すると、税額は約101万円です。NISA口座であれば、この運用益に対する税金はかかりません。
2.2 月3万円は枠に余裕がある
新NISAには2つの投資枠があり、つみたて投資枠は年間120万円です。毎月均等に積み立てるなら月10万円に相当するため、月3万円は十分に枠内に収まります。
生涯にわたる非課税保有限度額は1800万円。月3万円を20年続けても元本は720万円ですから、枠を使い切ることはありません。収入が増えたときに積立額を上げる余地は残っています。
3. 【出口戦略】積み上げた資産をどう取り崩すか
ここからが本題の後半です。20年かけて積み上げた資産を、どう使うか。増やし方に比べて、取り崩し方はあまり語られません。
利回り5%のケースで貯まった1217万円を例に計算しました。以下は筆者による試算です。
取り崩しながら運用を続けるかどうかで、もつ年数が10年前後変わる2/2
出所:LIMO編集部作成(年率3%の運用益が毎月一定のペースで得られるものとして月利0.25%で単純試算。手数料や税金、相場変動は考慮していません)
3.1 運用をやめて毎月一定額を取り崩す場合の資産寿命
まず、20年後に全額を売却して現金にし、そこから毎月引き出す場合です。
- 月5万円ずつ:20.3年
- 月8万円ずつ:12.7年
- 月10万円ずつ:10.1年
月5万円なら20年もちます。65歳から始めれば85歳まで。ただし月8万円に増やすと12.7年で尽きます。
3.2 運用を続けながら毎月一定額を取り崩す場合の資産寿命
次に、資産を運用したまま、必要な分だけ売っていく場合です。年3%で運用を続けられたと仮定します。
- 月5万円ずつ:31.3年
- 月8万円ずつ:16.0年
- 月10万円ずつ:12.1年
※年率3%の運用益が毎月一定のペースで得られるものとして、月利0.25%で単純試算しています。手数料や税金、相場変動は考慮していません。
月5万円の場合、20.3年が31.3年になりました。およそ11年の差です。取り崩しながらでも運用を続ける意味は、ここにあります。
もっとも、運用を続けるということは、取り崩している最中に相場が下がる可能性も引き受けるということです。下がった年に多く売れば、資産の減りは加速します。
3.3 定率で取り崩す方法も
もうひとつの考え方が、金額ではなく割合で決めるやり方です。例えば、1217万円の資産を毎年4%ずつ取り崩すなら、初年度は1217万円の4%にあたる約48万7000円、月平均では約4万1000円です。
割合で決めると、相場が下がった年は引き出す額も自動的に減ります。生活は苦しくなりますが、資産を減らしすぎずに済みます。
定額で引き出すか、定率にするか。どちらが合うかは、他に年金などの収入がどれだけあるかで変わります。
3.4 売った分の非課税枠は翌年に戻る
取り崩しを考えるうえで、知っておきたい仕組みがもうひとつあります。
新NISAでは、保有している商品を売却すると、翌年以降にその分の非課税投資枠が復活します。復活する額は売却時の価格ではなく、買ったときの金額、つまり簿価が基準です。
例えば、取得価額の合計が720万円の商品をすべて売却した場合、翌年以降に720万円分の非課税保有限度額を再利用できるようになります(年間投資枠の制限を受けます)。
非課税保有期間は無期限になったので、急いで売る理由はありません。生活に必要な分だけを売り、残りは非課税のまま置いておく。枠が戻ることを知っていれば、途中でまとまった支出が生じても、あとから積み直すという選択が取れます。
