年金を受け取りながら生活しているシニアの中には、長引く物価高の影響から「働いて収入を得る」という選択をしている人も多いのではないでしょうか。
「非課税世帯を維持したい」「できるだけ税負担を抑えたい」という場合、非課税世帯のボーダーラインを超えないように収入を調整する必要があります。
では、「年金+パート収入」を得ているシニアは、収入をいくらまでに抑えれば非課税世帯を維持できるのでしょうか。
今回は住民税非課税世帯の概要や具体的な所得基準のほか、モデルケースを活用した収入ボーダーラインの計算方法についても詳しく解説します。
1. 働くシニアは21年連続の増加!過去最多の930万人に
総務省統計局が示すデータによると、2024年における65歳以上の就業者数は930万人と過去最多であり、21年連続で増加しています。
日本の働く人全体を指す「労働力人口」に占める65歳以上のシニアの割合は13.5%(2025年予測では13.7%に上昇)であり、働く人の実質およそ7人に1人が65歳以上となっています。
また、65歳以上の年齢別の就業率の推移は、以下のとおりです。
- 65〜69歳:53.6%
- 70〜74歳:35.1%
65〜69歳においては、半数以上の人が働いているという結果でした。
また、65歳以上の就業者のうち、会社役員や自営業者などを除く雇用者は約6割です。そのうち、パートやアルバイトとして働く人は5割以上にのぼります。
年金生活を送る中でも、多くの人がパートやアルバイトとして収入を得ていることが分かります。
では、「年金+パート収入」を得ている人が住民税非課税世帯となるには、収入をいくらまでに抑えればよいのでしょうか。
ここからは、住民税非課税世帯の定義や具体的な判定方法をやさしく解説していきます。
2. そもそも「住民税非課税世帯」とは?
「住民税非課税世帯」とは、世帯の全員が「住民税非課税」にあたる世帯を指します。
そして「住民税非課税」に該当するのは、住民税の「所得割」と「均等割」がどちらも課税されない人です。
「所得割」は所得金額に応じた税額を負担するのに対し、「均等割」は一定の収入を上回る人が定額を負担します。
2.1 「住民税非課税」になるのはどんな人?
では、どのような人が「住民税非課税」に当てはまるのでしょうか。
住民税非課税となる要件は、以下の3つのうちいずれかに当てはまる人です。
- 生活保護法の規定による生活扶助を受けている
- 障がい者、未成年者、寡婦またはひとり親で、前年の合計所得金額が135万円以下である
- 前年の合計所得金額が一定の基準を下回っている
前年の合計所得については、お住まいの自治体によりボーダーラインが異なります。
基本的に、物価や生活水準が高い東京23区や指定都市などでは、非課税に該当する所得基準が比較的高く設定されています。
例として、東京23区で非課税に該当する人の所得基準額を見てみましょう。
- 同一生計配偶者または扶養親族がいる場合:35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円以下
- 同一生計配偶者または扶養親族がいない場合:45万円以下
※扶養親族は、年齢16歳未満の者及び地方税法第314条の2第1項第11号に規定する控除対象扶養親族に限る
上記の金額は、収入から各種控除を差し引いた所得を基準として計算します。年金収入・給与収入をそのまま合計して当てはめるわけではない点に注意しましょう。