65歳以上の無職世帯は、夫婦のみで月4万2434円、ひとり暮らしで月2万9980円の赤字が出ています。

一方で貯蓄はまとまった額があり、それをどう次の世代に渡すかという話も出てきます。

贈与税には暦年課税とは別に、相続時精算課税という選び方があります。基礎控除額110万円に加えて、特別控除額2500万円まで控除できる制度です。

この記事では、相続時精算課税のしくみと、65歳以上・無職世帯の家計収支、公的年金の仕組みと平均月額について解説します。

1. 相続時精算課税なら、2500万円まで特別控除がある

贈与税にはもうひとつ、相続時精算課税という選び方があります。

国税庁によると、相続時精算課税の制度とは、原則として60歳以上の父母または祖父母などから、18歳以上の子または孫などに対し財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。

贈与税額は、1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額から相続時精算課税に係る基礎控除額110万円を控除し、さらに特別控除額を控除した後の金額に一律20パーセントの税率を乗じて算出します。特別控除額の限度は2500万円で、前年以前に控除している場合は残額が限度になります。

1.1 贈与する人と受け取る人に年齢の要件がある

誰から誰への贈与かが、まず条件になります。

贈与者は贈与をした年の1月1日において60歳以上の父母または祖父母など、受贈者は贈与を受けた年の1月1日において18歳以上で、贈与者の直系卑属である推定相続人または孫とされています。

贈与財産の種類、金額、贈与回数に制限はありません。まとまった額を一度に渡す場合にも使える形です。

相続時精算課税なら、2500万円まで特別控除がある1/4

相続時精算課税の贈与者は60歳以上の父母や祖父母、受贈者は18歳以上の子や孫で、基礎控除110万円と特別控除2500万円を控除した残額に20%の税率がかかることを示した図

出所:国税庁タックスアンサー「No.4103 相続時精算課税の選択」をもとにLIMO編集部作成

1.2 一度選ぶと暦年課税には戻せない

選ぶ前に知っておきたい制約もあります。

この制度は贈与者ごとに選択できますが、一度選択すると、その贈与者から贈与を受ける財産についてはその選択をした年分以降すべてこの制度が適用され、暦年課税へ変更することはできません。

また、特定贈与者である父母や祖父母などが亡くなった時の相続税の計算では、相続財産の価額に相続時精算課税適用財産の価額を加算して相続税額を計算します。贈与税と相続税を通じた課税が行われる制度ということです。

選択には「相続時精算課税選択届出書」の提出が必要です。どちらの課税方法が合うかは事情によって変わるため、税務署の相談窓口で確認してみてください。

なお、65歳以上世帯の家計収支や年金の平均受給額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。

【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説
【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説
【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説

2. 65歳以上の無職世帯、ひと月の収支を2つのケースで

65歳以上・無職夫婦世帯の家計収支を見るために、LIMOの記事「【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説」の要点を引用します。

総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、実収入の合計が25万4395円(うち公的年金などの社会保障給付が22万8614円)、支出は消費支出26万3979円と非消費支出3万2850円を合わせて29万6829円。単純計算で毎月約4万2000円が不足し、この収支差が続くと1年間で約50万円、10年間で約500万円の不足となります。

出所:LIMO「【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説」

単身世帯の家計収支も含めて、LIMOの記事「【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説」の要点を引用します。

65歳以上の無職単身世帯では、実収入13万1456円(うち社会保障給付12万212円)に対し、支出は消費支出14万8445円と非消費支出1万2990円を合わせて16万1435円。毎月2万9980円が不足している計算になります。

出所:LIMO「【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説」

3. 高齢者世帯の所得のうち61.3%が「公的年金・恩給」

この不足を、年金だけで生活するシニアはどう埋めているのでしょうか。

厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」から、高齢者世帯(※)の所得の内訳を確かめます。

所得構成のうち「公的年金・恩給」が61.3%、仕事による収入である「稼働所得」が25.9%、「財産所得」が5.8%です。

ここまでは全体を平均した数字になります。

「公的年金・恩給を受給している世帯」に限ると、収入のすべてが「公的年金・恩給」の世帯が41.3%にのぼります。

※高齢者世帯:65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の者が加わった世帯

3.1 年金への依存度で世帯を分けてみる

高齢者世帯の総所得に占める「公的年金・恩給」の割合別世帯構成2/4

高齢者世帯の総所得に占める「公的年金・恩給」の割合別世帯構成

出所:厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」II 各種世帯の所得等の状況

  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯:41.3%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が80~100%未満の世帯:17.1
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が60~80%未満の世帯:14.1%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が40~60%未満の世帯:13.6%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20~40%未満の世帯:9.7%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20%未満の世帯:4.2%

年金受給世帯の4割以上は、公的年金だけを頼りに暮らしているということです。