厚生労働省の調査によると、公的年金の平均受給額は国民年金で月5万円台、厚生年金でも月15万円台にとどまっており、年金収入だけで生活費をまかなうのは簡単ではありません。
年金収入などが一定基準以下の方には、「年金生活者支援給付金」という上乗せの制度がありますが、支給要件や金額の決まり方、届く請求書の見方を正しく理解していないと、戸惑ってしまうこともあります。
この記事では、年金生活者支援給付金の3つの種類や2026年度の給付額、支給要件、請求手続きの流れを整理したうえで、実際に届く請求書に記載されている内容や、老齢年金生活者支援給付金の金額の決まり方についても確認していきます。
1. 年金生活者支援給付金は「基礎年金」によって要件や給付額が異なる
「年金生活者支援給付金」は、年金収入やその他の所得額が一定基準額以下の年金生活者の暮らしを支えることを目的として、2カ月に一度、年金に上乗せして支給されるお金です。
2019年に始まった比較的新しい制度で、以下3種類の給付金ごとに、給付額や支給要件が設けられています。
- 老齢年金生活者支援給付金(補足的老齢年金生活者支援給付金)
- 障害年金生活者支援給付金
- 遺族年金生活者支援給付金
2. 年金生活者支援給付金《2026年度給付額》
年金生活者支援給付金は、物価変動率を踏まえて年度ごとに見直しがおこなわれます。
2026年度(4月分より)の給付金額は、前年度から+3.2%の増額となりました。
2.1 【2025年度→2026年度】年金生活者支援給付金の支給金額
2.2 2026年度「年金生活者支援給付金」の給付額
- 老齢年金生活者支援給付金の基準額(月額):5620円
- 障害年金生活者支援給付金(月額):1級7025円・2級5620円
- 遺族年金生活者支援給付金(月額):5620円
老齢年金生活者支援給付金については、上記の基準額をもとに、保険料納付済期間等に応じて実際の給付額が計算されます。
なお、上記はいずれも「月額」です。給付金は偶数月の支給日に、2カ月分がまとめて年金と同じ口座へ、年金とは別に振り込まれます。上記の給付額通りを受け取れる場合、1回の支給で約1万1000円、年額にすると約6万7000円となります。
なお「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2025年3月における平均給付月額(※)は、老齢年金生活者支援給付金4146円、障害年金生活者支援給付金5727円、遺族年金生活者支援給付金5228円でした。
※2025年3月において認定されている平均給付金額です。給付基準額が月5310円だった令和6年度に支給されていた金額のため、2026年度の5620円とは基準が異なります。
3. 年金生活者支援給付金《支給要件》
ここからは、年金生活者支援給付金の支給要件についても見ていきましょう。以下の所得基準額は、令和8年10月分から適用されるものです。
「障害年金生活者支援給付金」と「遺族年金生活者支援給付金」を受け取れるのは、それぞれの基礎年金(障害基礎年金もしくは遺族基礎年金)を受給中で、前年の所得が491万8000円以下の人です。
判定には障害年金や遺族年金などの非課税収入は含まれず、扶養親族等の数に応じて所得基準額は変わります。
なお、老齢年金生活者支援給付金のみ、本人の所得以外に「年齢」と「世帯全体の状況」が支給要件に加わります。次で整理していきましょう。
3.1 「老齢年金生活者支援給付金」の支給要件
老齢年金生活者支援給付金の支給対象となるのは、下記1~3の要件をすべて満たす人です。
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
- 前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後生まれの方は82万6500円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は82万4100円以下
なお、老齢年金生活者支援給付金の判定にも、障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
また「基準額ギリギリで給付対象となる人」との間に不公平感が生じないように、「基準額をわずかに超えて給付対象外となる人」は「補足的老齢年金生活者支援給付金(※)」の支給対象となります。
※補足的老齢年金生活者支援給付金:1956(昭和31)年4月2日以後に生まれた方で82万6500円を超え92万6500円以下である方、1956年4月1日以前に生まれた方で82万4100円を超え92万4100円以下である方に支給されます。所得が増えるにつれて、補足的老齢年金生活者支援給付金の給付額は減ります。