70歳代の二人以上世帯の貯蓄額は、平均2416万円、中央値1178万円です。
この差を見ると、現役のうちにどう積み立てておくかが効いてくることがわかります。
その手段のひとつが財形貯蓄ですが、目的外の払出しをすると原則として5年間遡及して課税されます。使いみちの制約がある制度だということです。
この記事では、財形貯蓄の目的外払出しと非課税枠の内訳、70歳代の貯蓄額、公的年金の平均月額と老後の生活費について解説します。
1. 財形を目的外で払い出すと、原則5年間遡及して課税される
財形貯蓄は利子等が非課税になる制度ですが、使いみちに条件がついています。
国税庁によると、目的外の払出しが行われた場合には、原則として5年間遡及して課税されることとなります。非課税だったはずの利子等が、あとからさかのぼって課税対象になるということです。
財形住宅貯蓄は持家の取得等の時の頭金等として払い出すこと、財形年金貯蓄は60歳以降の年金の支払開始まで払出しをしないことが要件です。この枠から外れる引き出しが目的外の払出しにあたります。
1.1 災害等の場合には特例がある
ただし、例外も用意されています。
平成28年4月1日以後に行った災害等一定の事情による目的外の払出しについては、遡及課税を行わないこととする特例があると案内されています。
あらかじめ知っておけば、いざというときに慌てずに済みます。該当しそうな場合は、勤務先や取引金融機関に確認してみてください。
1.2 保険料で積み立てる場合は385万円と165万円に分かれる
もうひとつ、枠の内訳にも決まりがあります。
財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄の両方を有する場合は、両方を合わせて最高550万円です。ただし、生命保険の保険料、生命共済の共済掛金、損害保険の保険料は385万円までとされており、残りの165万円については財形住宅貯蓄の非課税の枠として利用できると定められています。
保険で積み立てるつもりで550万円まで入れられると考えていると、枠の見込みが変わります。どの商品で積み立てるのかによって上限が動くという点は、契約する前に押さえておきたいところです。
なお、70歳代の貯蓄額や65歳以上世帯の家計収支に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。
2. 70歳代の二人以上世帯、平均2416万円と中央値1178万円
実際に70歳代がどのくらい持っているのかを見ておきましょう。J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」の「70歳代・二人以上世帯の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)」を図で確認します。
※金融資産保有額には、預貯金以外に株式や投資信託、生命保険なども含まれます。また、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。
平均貯蓄額は2416万円です。もっとも、平均という数字は資産の多い層に引き上げられやすく、多くの世帯の実感からは離れることがあります。
そこで中央値を見ると1178万円です。平均との差は1200万円あまりになります。
階級ごとの内訳は、LIMOの記事「【70代の貯蓄・年金・家計のリアル】老後赤字を加速させないためには?投資に頼らない防衛策を徹底解説!」から引用して確認します。
- 金融資産非保有:10.9%
- 100万円未満:4.5%
- 100~200万円未満:5.1%
- 200~300万円未満:3.7%
- 300~400万円未満:3.9%
- 400~500万円未満:2.9%
- 500~700万円未満:6.4%
- 700~1000万円未満:6.7%
- 1000~1500万円未満:11.1%
- 1500~2000万円未満:6.7%
- 2000~3000万円未満:12.3%
- 3000万円以上:25.2%
- 無回答:0.6%
出所:LIMO「【70代の貯蓄・年金・家計のリアル】老後赤字を加速させないためには?投資に頼らない防衛策を徹底解説!」
金融資産を保有していない世帯が10.9%あり、反対に3000万円以上の世帯は25.2%です。同じ70歳代でも、資産の状況はかなり離れています。
細かく見ると、100万円未満が4.5%、100~200万円未満が5.1%、200~300万円未満が3.7%です。一方で1000~1500万円未満が11.1%、1500~2000万円未満が6.7%、2000~3000万円未満が12.3%と、上の階級にも厚みがあります。
この差は、退職金の有無や現役時代の収入、相続、健康状態などから生まれます。公的年金の額も加入状況で変わるため、年金収入だけでは足りない世帯も出てきます。
だからこそ、現役のうちから積み立ての枠を使っておく意味があります。使える制度と使えない条件を先に知っておくことが、準備の第一歩です。


