65歳以上の無職世帯は、夫婦のみで月4万円台、一人暮らしで月2万円台の赤字が出ています。

不足分を埋めるのは手元の貯蓄です。では現役のうちに、どうやって積み上げておくとよいのでしょうか。

勤務先を通じて使える制度のひとつが財形貯蓄です。財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄では、元本550万円までの利子等について所得税が非課税になります。

この記事では、財形貯蓄の非課税の枠と要件、65歳以上・無職世帯の家計収支、公的年金の仕組みと平均月額について解説します。

1. 財形貯蓄で利子等が非課税になるのは、元本550万円まで

年金だけでは足りない分を、現役のうちにどう積み上げておくか。勤務先の制度を使う方法もあります。

国税庁によると、財形住宅貯蓄非課税制度と財形年金貯蓄非課税制度は、いずれも元本550万円までの利子等について所得税を非課税とする制度です。

財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄の両方を有する場合は、両方を合わせて最高550万円とされています。合計の枠なので、2つ持てば1100万円になるわけではありません。

1.1 積み立てのしかたと払い出しに条件がある

非課税になるには、いくつかの要件を満たす必要があります。

共通する要件は、5年以上の期間にわたって定期に給与天引き預入により積み立てることです。そのうえで財形住宅貯蓄は持家の取得等の時の頭金等として払い出されること、財形年金貯蓄は60歳以降の年金の支払開始まで払出しをしないことが求められます。

いずれも1人1契約に限られており、対象となる貯蓄等は勤務先を通じて預入、信託、購入または払込みをしたものです。

財形貯蓄で利子等が非課税になるのは、元本550万円まで1/4

財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄で利子等が非課税になる元本の限度額550万円と、それぞれの主な要件を示した表

出所:国税庁タックスアンサー「No.1316 財形住宅貯蓄」および「No.1319 財形年金貯蓄」をもとにLIMO編集部作成

1.2 契約できるのは55歳未満の勤労者

誰でも使えるわけではありません。

対象となるのは、原則として国内に住所を有する年齢55歳(契約締結時の年齢)未満の勤労者で、勤務先に「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している人に限られます。

手続きとしては、最初の預入等をする日までに「財産形成非課税住宅貯蓄申告書」または「財産形成非課税年金貯蓄申告書」を、勤務先等および金融機関の営業所等を経由して税務署長に提出することになっています。

制度そのものは勤務先を通じて利用するものなので、自分の職場に財形貯蓄の窓口があるかどうかは、総務や人事の担当部署に確認してみてください。

なお、65歳以上世帯の家計収支や年金の平均受給額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。

【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説
【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説
【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説

2. 65歳以上・無職世帯のひと月の生活費

65歳以上・無職夫婦世帯の家計収支の詳細は、LIMOの記事「【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説」から要点を引用して確認します。

総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、実収入の合計が25万4395円(うち公的年金などの社会保障給付が22万8614円)、支出は消費支出26万3979円と非消費支出3万2850円を合わせて29万6829円。単純計算で毎月約4万2000円が不足し、この収支差が続くと1年間で約50万円、10年間で約500万円の不足となります。

出所:LIMO「【最新データ】老後の「ふつう」が分かる!65歳以上の平均貯蓄額と年金月額は?老後夫婦のリアルな生活費と家計収支を解説」

単身世帯の家計収支も、LIMOの記事「【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説」から要点を引用して確認します。

65歳以上の無職単身世帯では、実収入13万1456円(うち社会保障給付12万212円)に対し、支出は消費支出14万8445円と非消費支出1万2990円を合わせて16万1435円。毎月2万9980円が不足している計算になります。

出所:LIMO「【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説」

3. 収入のすべてが公的年金・恩給である高齢者世帯は41.3%

では、年金だけで生活するシニアはどれくらいでしょうか。

厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」から、高齢者世帯(※)の収入の内訳を確認します。

高齢者世帯全体の所得構成を見ると、「公的年金・恩給」が61.3%を占めます。次いで仕事による収入である「稼働所得」が25.9%、「財産所得」が5.8%という並びです。

ただし、これは全体を平均した数字です。

「公的年金・恩給を受給している世帯」に絞ると、収入のすべてが「公的年金・恩給」である世帯が41.3%に達しています。

※高齢者世帯:65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の者が加わった世帯

3.1 公的年金・恩給が総所得に占める割合別の世帯構成

高齢者世帯の総所得に占める「公的年金・恩給」の割合別世帯構成2/4

高齢者世帯の総所得に占める「公的年金・恩給」の割合別世帯構成

出所:厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」II 各種世帯の所得等の状況

  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯:41.3%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が80~100%未満の世帯:17.1
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が60~80%未満の世帯:14.1%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が40~60%未満の世帯:13.6%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20~40%未満の世帯:9.7%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20%未満の世帯:4.2%

全体で見れば稼働所得も一定の割合を占めますが、年金受給世帯では4割以上が公的年金だけで暮らしていることになります。