65歳以上の世帯が持つ貯蓄額は、平均で2000万円を超えています。

これだけの額を1つの金融機関に置いている場合、預金保険で守られるのは元本1000万円までと破綻日までの利息等です。

ただし、金融機関が合併した直後は事情が変わります。合併から1年間に限り、保護の枠が「元本1000万円×合併等に関わった金融機関の数」まで広がるためです。

この記事では、預金保険の対象になる金融機関と合併の特例、65歳以上世帯の平均貯蓄額、2026年度の年金額について解説します。

1. 合併から1年間だけ、保護の枠が広がる

預金保険には、合併があったときの特例があります。

預金保険機構によると、金融機関が合併を行った場合や事業のすべてを譲り受けた場合、その後1年間に限り、保護される預金等の範囲は預金者1人当たり「元本1000万円×合併等に関わった金融機関の数」までと破綻日までの利息等になります。

2行が合併した場合であれば、1000万円×2=2000万円と破綻日までの利息等が保護の範囲です。

広がるのは1年間だけです。合併の直後にまとまった額を1つの金融機関に置いている場合は、この期間を意識しておくとよいでしょう。

1.1 そもそも預金保険の対象になる金融機関はどこか

もうひとつ押さえておきたいのが、預金保険の対象となる金融機関の範囲です。

対象になるのは、日本国内に本店のある銀行法に規定する銀行、長期信用銀行法に規定する長期信用銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、信金中央金庫、全国信用協同組合連合会、労働金庫連合会、商工組合中央金庫です。

一方で、これらの金融機関の海外支店、政府系金融機関、外国銀行の在日支店は預金保険制度の対象外とされています。

合併から1年間だけ、保護の枠が広がる1/8

預金保険の対象になる金融機関とならない金融機関の区分と、合併から1年間は元本1000万円×合併等に関わった金融機関の数まで保護される特例を示した図

出所:預金保険機構「預金保険制度の概要」をもとにLIMO編集部作成

1.2 農協や証券会社は別の制度で守られる

対象外といっても、まったく保護がないわけではありません。

農林中央金庫、農業協同組合、漁業協同組合等は「農水産業協同組合貯金保険制度」により別途保護されます。証券会社は「投資者保護基金」、生命保険会社と損害保険会社はそれぞれ「保険契約者保護機構」に加入しています。

どの制度で守られるのかは、預け先の業態によって変わります。複数の金融機関に分けて置いている場合は、それぞれの制度を確かめておきたいところです。

2. 世帯主が65歳以上の無職世帯、平均貯蓄額は2494万円

まずは貯蓄の総額です。総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2025年(令和7年)平均結果の概要-(二人以上の世帯)」によると、世帯主が65歳以上の無職世帯(二人以上の世帯)の平均貯蓄額は2494万円でした。

2.1 貯蓄の種類別に見た現在高の動き

この額は近年伸び続け、2024年には2560万円まで上がっていました。2025年は2494万円で、前年比66万円(2.6%)減となり、6年ぶりに減少へ転じています。

種類別では定期性預貯金が778万円で最も多く、通貨性預貯金が766万円、有価証券※1が510万円、生命保険などが426万円、金融機関外※2の貯蓄が13万円という並びです。

前年からの動きを見ると、定期性預貯金が-81万円(-9.4%)、通貨性預貯金が-35万円(-4.4%)と減った一方、有価証券は+9万円(+1.8%)と増えています。

※1 有価証券:株式、債券、株式投資信託、公社債投資信託、貸付信託、金銭信託など(いずれも時価)
※2 金融機関外:金融機関以外への貯蓄のことで、社内預金、勤め先の共済組合への預金など

3. 有職世帯も含めた65歳以上世帯の貯蓄額

次に、同じ資料から有職世帯も含めた65歳以上世帯全体の貯蓄額を確認します。

3.1 貯蓄高の階級別に見た世帯の分布

平均値と中央値には約790万円の差

  • 平均値:2564万円
  • 貯蓄保有世帯の中央値(※):1777万円

有職世帯を含めた65歳以上の二人以上世帯の平均貯蓄額は2564万円です。一方、貯蓄が0円の世帯を除いた中央値は1777万円で、平均値より約790万円低い水準にあります。

分布を見ると、2500万円以上の世帯が36.3%を占めます。その一方で300万円未満の世帯も14.9%あり、貯蓄の多い層が平均値を押し上げている形です。

※貯蓄保有世帯の中央値とは、貯蓄現在高が「0」の世帯を除いた世帯を貯蓄現在高の少ない方から順番に並べたときに、ちょうど中央に位置する世帯の貯蓄現在高をいいます。