住友電気工業<5802>の株価は4日、前日比+30円(+1.43%)の2,133円で取引を終えました。

7月31日に発表した2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月期)決算では、売上高・営業利益・経常利益・純利益の4項目がそろって前年同期比で大幅な増収増益となったほか、通期の連結業績予想も上方修正しました。

今回はこの最新決算をもとに、住友電工の事業のどこが稼ぎ頭になっているのかをひも解いていきます。

1. 最新決算からひも解く企業の強み

住友電気工業が7月31日に発表した2027年3月期第1四半期(2026年4月1日〜6月30日)の連結決算は、売上高が1兆3,305億9,100万円(前年同期比15.9%増)、営業利益が970億5,900万円(同61.0%増)、経常利益が1,030億3,900万円(同66.6%増)、四半期純利益が664億1,400万円(同89.1%増)と、主要4項目すべてで大幅な増収増益となりました。

この好調を受けて、同社は2027年3月期通期の連結業績予想を上方修正しています。

5月12日時点の前回予想からの修正幅は、売上高が5兆3,000億円から5兆4,000億円へ、営業利益が4,250億円から4,500億円へ、経常利益が4,320億円から4,600億円へ、純利益が3,200億円から3,400億円へと、いずれも上振れです。

情報通信関連事業や自動車関連事業、産業素材関連事業などの需要が堅調に推移したことに加え、円安や銅価格上昇の影響もあり、中東情勢に起因する一部売上の減少やコスト上昇を吸収して前回予想策定時の想定を上回りました。

2. 稼ぎ頭は自動車関連事業、ただし1Qの利益面では主役交代

住友電工は電線・ケーブルを祖業とする非鉄金属大手で、事業を「自動車関連事業」「環境エネルギー関連事業」「情報通信関連事業」「エレクトロニクス関連事業」「産業素材関連事業他」の5つのセグメントに分けて開示しています。

このうち売上高で最大の柱となっているのが自動車関連事業です。2026年3月期通期の実績では、自動車関連事業の売上高は2兆9,353億8,900万円と、連結売上高全体の57.4%を占めました。主力製品は自動車のワイヤーハーネス(組み電線)や防振ゴムで、世界の自動車メーカー向けに供給しています。

直近の2027年3月期第1四半期でも、自動車関連事業の売上高は8,028億300万円と、前年同期比で1,322億400万円の増収となりました。

主力のワイヤーハーネスや、防振ゴムを手がけるグループ会社・住友理工の出荷数量は堅調に推移した一方、営業利益は260億2,600万円と前年同期から5億6,100万円の減益になりました。中東情勢の影響による数量減・コスト上昇に加え、銅の平均調達価格が1トンあたり142万4,000円から222万円へ1年間で5割超上昇したことも、利益を押し下げる要因になりました。売上高で稼ぐ規模は最大でも、利益面では他のセグメントほどの勢いが出ていないのが今回の四半期の特徴といえます。

3. 1Q営業利益は「情報通信」が「自動車」を逆転

セグメント別業績(外部顧客への売上高+セグメント間の内部売上高の合計)は次の通りです。

  • 環境エネルギー関連事業:売上高2,530億3,900万円(前年同期比98億3,300万円の減収)/営業利益152億6,500万円(同16億4,300万円の増益)
  • 情報通信関連事業:売上高864億8,400万円(同248億2,100万円の増収)/営業利益272億4,600万円(同191億1,500万円の増益)
  • 自動車関連事業:売上高8,028億300万円(同1,322億400万円の増収)/営業利益260億2,600万円(同5億6,100万円の減益)
  • エレクトロニクス関連事業:売上高1,105億8,100万円(同205億6,100万円の増収)/営業利益117億2,000万円(同54億3,100万円の増益)
  • 産業素材関連事業他:売上高1,157億4,300万円(同228億6,900万円の増収)/営業利益170億4,700万円(同114億2,200万円の増益)

売上高こそ5セグメント中最小の情報通信関連事業ですが、営業利益は272億4,600万円と、売上高で圧倒する自動車関連事業の260億2,600万円を12億2,000万円上回りました。

自動車関連事業は今回減益でしたが、情報通信関連事業は前年同期の81億3,100万円から3倍超に拡大しており、金額そのものでも自動車関連事業を追い抜いて全社の中で最大の営業利益を稼ぐセグメントになっています。

生成AI市場の拡大を背景にデータセンター向けの光配線機器や光デバイスなどの需要が増加したことに加え、円安の影響も追い風になったとされています。2026年3月期通期でも、情報通信関連事業の売上高は前期比44.2%増、営業利益は同288.6%増と、5セグメントの中で突出した伸びを見せていました。

売上高で会社を支える稼ぎ頭は依然として自動車関連事業ですが、直近の四半期に限れば、利益面での稼ぎ頭はデータセンター向け需要を取り込む情報通信関連事業に移っているといえそうです。