4. 株式分割後も、換算すると実質増配に

同社は7月1日を効力発生日として、1株→4株の株式分割を実施しました。2027年3月期の配当予想は分割後の株式数を基準に中間19円・期末20円の合計39円ですが、株式分割の影響を考慮しない場合の年間配当金合計は156円となります。

つまり、分割前の株数に換算した実質ベースでは、前期の154円から156円へ2円の増配予想となっている計算です。

5. 住友電気工業<5802>の9月4日の株価

9月4日の終値は前日比+30円(+1.43%)の2,133円でした。この終値をもとにしたPER(会社予想)は19.57倍、PBR(実績)は2.35倍、配当利回り(会社予想)は1.83%です。

年初来高値の3,712円(6月3日)、年初来安値の1,529円(1月9日)と比べると、直近の株価は値幅のうち下から3割弱の水準にあり、高値・安値の中間よりも安値に近い位置にあります。

住友電工の年間チャート1/1

住友電工の年間チャート

出所:LIMO&ファイナンス

6. 記者コメント

今回の決算で目を引くのは、売上規模で会社を支える自動車関連事業と、利益成長を牽引する情報通信関連事業とで、稼ぎ頭の顔ぶれが分かれてきている点です。自動車関連事業はワイヤーハーネスなど基盤事業として引き続き会社の屋台骨を支える一方、中東情勢の影響による数量減・コスト上昇という向かい風も受けています。これに対して情報通信関連事業は、生成AIの普及に伴うデータセンター向け需要という追い風を受けて営業利益額でも自動車関連事業を上回り、利益面での存在感を急速に高めています。

なお、上方修正後の通期営業利益予想4,500億円に対して、第1四半期実績970億5,900万円の進捗率は21.6%にとどまり、単純に四半期割りした25%のペースには届いていません。もっとも、同社は今回の業績予想の見直しにあたり、中東情勢の影響で通期の営業利益を230億円押し下げると見込んでおり(うち上期分は140億円)、この影響を主に下期以降に織り込んでいることがうかがえます。

こうした下期の織り込み要因も踏まえ、次回以降の決算を確認していく必要がありそうです。また、7月の株式分割で投資単位が引き下げられたことも含め、各セグメントの需要動向や株価の推移を引き続き注視したいところです。

【免責事項】

  • 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。

参考資料

 

高原 祥子