日本人は金融リテラシーが低いとよく言われます。実際、金融広報中央委員会(事務局 日本銀行情報サービス局内)の「金融リテラシー調査 2019年」によると、金融知識に関する問題の正答率比較で、日本は米・英・独・仏に劣る結果となっています。

金融リテラシーが低ければ、お金の使い方や貯め方で損をしてしまう可能性もあります。では、これから子供たちの金融リテラシーを高めるために、どのような教育をしていけばいいのでしょうか。

キャッシュレス時代のお金はスマホから湧いて出てくる!?

クレジットカードでの支払いや電子マネー、スマホ決済などが増えてきています。今後はさらにキャッシュレス化が進み、現金での支払いを目にすることが減ってくるでしょう。そんな中、現代の子供たちは、バーチャルなお金と実際の小銭や紙幣の価値が一致しないということもあるようです。

とある子供向けの「経営体験イベント」に小学校低学年の我が子を参加させたという40代の会社員は、「電子マネーを使うシーンを見ていた子供が『お金はスマホから湧いて出てくる』という感覚を持っていることに不安を覚えた」と言います。

現金という物理的なモノで支払いをするのと違い、キャッシュレスだと「使えば減る」ということが実感できない子供も出てくるかもしれません。お金の価値をきちんと理解できなければ、知らず知らずお金を使いすぎてしまうこともありえます。

そのため、お金は湧いて出てくるのではなく労働の対価として得るものだということ、計画的に貯め・使わないと自分が困るのだということをしっかりと教えていく必要があるでしょう。

子供に対する「お金の教育」の第一歩

とはいえ、日本は大人でもマネーや経済に興味を持っている層が多いとは言えない状況です。たとえば、少額投資非課税制度(NISA/つみたてNISA)の口座数は、2019年3月末で合計753万口座となっているものの、人口比での口座保有率は6%程度と、ほぼ17人に1人という割合です。

しかも、実際の稼働率(取引されている口座)は全体で72%程度と、残りの3割弱は口座開設したものの何の金融商品も買っていないと推察されます。資産形成層である親自体が資産形成に興味を持っていなければ、当然子供が興味を持つきっかけはありません。

しかし、銀行預金の利息が微々たるものである今、お金を増やしたいと思うのであれば投資についても勉強する必要があります。親がまず資産成形に興味を持ち、普段の会話で積極的にお金の話をすることから始めてみましょう。

何も難しい金融の話をしなければならないというわけではありません。「銀行預金の利息は少ないから投資信託を買ってみようかな」「アメリカの企業の商品がすごく売れているみたいだから投資してみるってどうかな」という会話から、子供も「銀行預金だけがお金を預ける選択肢ではない」ということが分かり、投資とは何かということに興味を抱くことにもつながるでしょう。

また、お金を使うところでは使い、締めるところは締めて無駄にしないという経験も大事です。たとえば、「来年の夏休みには家族で北海道旅行に行こう」という目的とそのために必要な目標金額を設定し、家族それぞれが節約や貯金に取り組むことで、子供の頃から自然にお金を貯める経験をし、達成感を得る機会をつくることもできるでしょう。

実践することでお金の大切さを理解する