「子どもが生まれると人生が変わる」というぼんやりした言葉はよく耳にします。性格が攻撃的になるのか優しくなるのか、経済状況が変わるのか、考え方が変わるのか、はたまた疲れが顔に出て人相が変わるのか。

子育て中の人や子育て経験者それぞれに「子どもが生まれて変わったこと」はあるのでしょう。かく言う筆者が変わったことは、自分自身に対する見方でした。

自分が怒りの感情を持つとどうなるのかを知った

筆者は自分の性格について、単純で能天気、嫌なことがあっても寝たら忘れるような割と穏やかな性格だと自負してきました。結婚前も子どもが生まれる前の結婚生活でも、夫とケンカすることは滅多にありませんでした。しかし子どもを産んでからというもの、イライラすることが増えました。気付けば、毎日何かしらのタイミングでイラっとしている自分がいます。

子どもがご飯を食べてくれない時、せっかく作ったご飯をポーンとどこかへ投げてしまった時、ふとした時に子どもの投げたいつかのご飯が家具にべっとり付いているのを目撃した時、夫が土日も家事育児を手伝わずにずっと寝ている時、夫に「今日、保育園でこんなことをやったみたいだよ」と伝えても仕事で疲れていて反応が悪い時…。本当に些細なことで、簡単に糸が切れてしまうのです。

今のこの怒りやすさはもちろん、子どもを出産したことによるホルモンの変化や日々の忙しさなども関係しているかもしれません。しかし筆者は、もともと自分が潜在的に持っていた部分もあるのではないかと感じています。これまでぬくぬくと送ってきた人生において「怒る」「イライラする」という状況がなかっただけではないか、と。

産後すぐに家事育児分担のことで大きな夫婦ゲンカをした時、目の前にあるティッシュ箱を壁に投げてしまったことがあります。「怒りの感情を持つと物に当たる性格なんだ」と気付き、落ち込みました。子育てという環境に置かれる中で今まで知らなかった自分の一面と出会った驚きと同時に、それがとてもネガティブな一面であることに絶望したのです。

そして「自分は単純で穏やかな性格だ」という自分自身に対する捉え方を、早急に修正しなければと危機感を持ったことを覚えています。

我が子に抱く「自分の嫌なところに似てほしくない」という願望