5. 70歳に到達したときにも行われる

退職以外のきっかけもあります。

5.1 70歳到達の翌月分から

日本年金機構によると、厚生年金に加入しながら老齢厚生年金を受けている70歳未満の方が70歳に到達したときは、70歳到達した翌月分の年金額から見直されます。

70歳で厚生年金保険の被保険者ではなくなるため、そこまでの加入期間が一度まとめて反映される形です。退職していなくても再計算が行われます。

5.2 70歳以上の期間は反映されない

一方で、70歳以上の期間は厚生年金に加入していないため、年金額の再計算には反映されません。

70歳を過ぎても働き続ける場合、保険料の負担はなくなりますが、年金額が増えることもなくなります。70歳到達時の再計算が、加入期間としては最後の反映になります。

6. 20年を超えると別の加算につながる

再計算の結果が波及することがあります。

6.1 加給年金や振替加算の対象になる場合

日本年金機構は、年金額の再計算により厚生年金加入期間が20年を超えたときは、加給年金が支給される場合や、配偶者に対して振替加算が支給される場合があるとしています。

加給年金は、厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある方に生計を維持されている65歳未満の配偶者などがいるときに加算されるものです。あと少しで20年という方は、退職改定がきっかけで条件を満たすことがあります。

6.2 その際は別途手続きが必要

機構は、加給年金や振替加算が支給される場合について、別途手続きが必要になるとしています。

自動で加算されるわけではありません。加入期間が20年に近い方は、退職の前後で年金事務所に確認しておきたいところです。

7. 在職定時改定との違い

2つの見直しを並べて確認します。

7.1 きっかけと時期が違う

在職定時改定は、65歳以上70歳未満の方が基準日である9月1日において厚生年金の被保険者であるときに、翌月の10月分の年金額から見直される仕組みです。働き続けていることが前提になります。

退職改定は退職や70歳到達をきっかけとするもので、時期は人によって変わります。前者は毎年決まった時期、後者はその人の事情に応じたタイミングという違いです。

7.2 反映される期間も違う

在職定時改定で反映されるのは、年金額に反映されていない前年9月から当年8月までの加入期間です。退職改定では、年金額に反映されていない退職までの期間が対象になります。

どちらも「まだ反映されていない期間を足す」という点は同じで、区切り方が違うことになります。

8. まとめにかえて

今回は、働きながら老齢厚生年金を受けている方が退職した際に行われる「退職改定」の仕組みや注意点について解説しました。

退職して1か月を経過すると翌月分から年金額が見直され、これまで反映されていなかった加入期間が足されるとともに、給与収入がなくなることで在職老齢年金による支給停止も解除されます。ただし、1か月以内に再就職した場合は再計算が行われず、年に1回の在職定時改定を待つことになります。

セカンドライフの資金計画を立てる際、年金が「いつ」「いくら」になるかを正確に把握することは非常に重要です。退職を控えている方は、ご自身のねんきん定期便を確認するとともに、必要に応じて年金事務所やFPなどの専門家に相談し、将来の安心な家計づくりに役立ててみてください。

参考資料

村岸 理美