3. 50歳未満の年齢階級では負債が貯蓄を上回る
負債を引いてから見ると、年代ごとの姿がはっきりします。
3.1 40歳未満は貯蓄994万円に対して負債1882万円
家計調査によると、世帯主の年齢階級別の貯蓄現在高は、40歳未満の世帯が994万円と最も少なく、60歳以上の各年齢階級では2000万円を超えています。
一方で負債現在高は、40歳未満の世帯が1882万円と最も多く、年齢階級が高くなるに従って少なくなります。住宅を買った直後に負債が大きくなり、返済が進むにつれて減っていく形です。
3.2 純貯蓄額が最も多いのは60~69歳の2609万円
貯蓄現在高から負債現在高を引いた純貯蓄額でみると、50歳以上の各年齢階級では貯蓄が負債を上回る貯蓄超過となっています。このうち最も多いのは60~69歳の2609万円です。
逆に50歳未満の各年齢階級では、負債現在高が貯蓄現在高を上回っています。同じ「貯蓄がいくらか」という話でも、年代によって足元の状況はまったく違います。
4. 負債保有世帯に限ると平均1802万円
負債のほうも、平均値だけでは実態がつかめません。
4.1 負債を持っている世帯は37.5%
二人以上の世帯に占める負債保有世帯の割合は37.5%で、前年に比べ1.3ポイント低下しています。675万円という平均は、負債がゼロの世帯も含めて計算した数字です。
実際に負債を持っている世帯だけを取り出すと、負債現在高の平均値は1802万円になります。平均値を下回る世帯が56.0%を占めており、中央値は1511万円でした。
4.2 負債の大半は住宅・土地のためのもの
負債の内訳をみると、住宅・土地のための負債が620万円で、前年に比べ1.3%の増加となっています。全体の675万円の大部分を占めています。
負債年収比は99.1%で、前年に比べ2.0ポイントの低下でした。負債の額そのものは増えていますが、収入との比では下がっています。
5. まとめにかえて
富裕層の基準になる純金融資産保有額は、金融資産の合計から負債を差し引いた額です。1億円以上の世帯は165.3万世帯で、純金融資産の総額は469兆円と推計されています。
一方、家計調査の貯蓄現在高2059万円は負債を引く前の数字で、同じ調査の負債現在高は675万円でした。差し引くと1384万円です。
数字を比べるときは、何を足して何を引いたものなのかを先に確かめておきましょう。自分の家計を見るときも、預金残高と借入残高はセットで並べておくと迷いません。
参考資料
- 野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計」
- 総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2025年(令和7年)平均結果-(二人以上の世帯)」
中本 智恵