75歳になると、原則としてそれまで加入していた健康保険から「後期高齢者医療制度」へ移行します。
2026年度には、後期高齢者医療制度の保険料率が改定されました。4月からは「子ども・子育て支援金」の徴収も始まり、全国平均では保険料負担が増えています。
ただし、すべての後期高齢者が一律で負担増となるわけではありません。前年の所得や世帯の所得状況などによって、実際に支払う保険料は変わります。
この記事では、2026年度の後期高齢者医療制度の保険料について、負担が重くなりやすい人と、軽減によって負担を抑えられる人の違いを確認していきます。
1. 【2026年度】後期高齢者医療の保険料は全国平均で「月8183円」
2026年度の後期高齢者医療制度の保険料は、以下のとおりです。
- 医療分:7989円
- 子ども分:194円
- 合計:8183円
医療分は2024・2025年度の月7411円から578円、率にして7.8%増えました。
2026年度からは少子化対策などの財源に充てる「子ども・子育て支援金」の徴収が始まっており「子ども分」として194円が追加で徴収されています。なお、子ども分の保険料率が決まっているのは2026年度分までで、2027年度分は2026年度末までに各広域連合の議会で決定されます。
医療分の年額9万5875円と子ども分の年額2333円を合計すると、年9万8208円です。年間約10万円が保険料として徴収される形になります。
ただし、この金額は保険料改定にあたって各広域連合が条例改正時に見込んだ額です。厚生労働省は、実際に各被保険者へ課される保険料額の平均値とは異なるとしています。
では、この後期高齢者医療制度の保険料は、どのように決められているのでしょうか。次章で解説します。
2. 後期高齢者医療の保険料の決まり方
後期高齢者医療制度の保険料は、原則として被保険者一人ひとりにかかります。2026年度からは「医療分」と「子ども分」の2つから保険料が構成されるようになりました。それぞれ、以下の2つを計算して保険料を求めます。
- 均等割:被保険者が原則として均等に負担する
- 所得割:前年の所得に応じて負担する
所得が高くなるほど所得割が増え、保険料が高くなります。
なお、後期高齢者医療制度の保険料の算定にかかわる「保険料率」は全国一律ではありません。保険料率は各都道府県の後期高齢者医療広域連合が定めるため、同じ所得でも住んでいる地域によって保険料は変わります。
全国平均の医療分は均等割5万6083円・所得割率10.17%。東京都は5万3300円・9.88%2/3
出所:厚生労働省「後期高齢者医療制度の令和8・9年度の保険料率について」をもとにLIMO編集部作成
たとえば、東京都の2026年度は、医療分の均等割額が年5万3300円、所得割率が9.88%です。これに子ども分として均等割1300円、所得割率0.26%が加わります。
厚生労働省は、2026年度の保険料の主な変動要因として以下を挙げています。
- 1人あたりの医療給付費の見込みが年間約94万2000円と、2024・2025年度の約89万8000円から約4.89%伸びている
- 給付費のうち後期高齢者の保険料で負担する割合(後期高齢者負担率)が13.27%と0.6ポイント引き上げられている
- 後期高齢者医療制度が出産育児一時金に要する費用の一部を支援しており、負担額を2分の1としていた激変緩和措置が2026年度から終了した
一方で、引き上げを抑える方向の要因もあります。2024・2025年度の医療給付費が見込みほど伸びなかったことなどで各広域連合に生じた剰余金2481億円と、財政安定化基金からの交付396億円が、保険料の増加抑制に充てられる見込みです。
次章では、保険料負担が重くなる人の条件を解説します。
3. 保険料負担が重くなるのはどんな人?
保険料負担が重くなる可能性があるのは、以下に当てはまる人です。
- 前年の所得が増えた人
- 均等割の軽減割合が変わったり対象外になったりした人
- 保険料を上限まで支払っている人
後期高齢者医療制度の保険料は、原則として前年の所得をもとに計算されます。昨年、一時的に所得が増えた人は、今年度の保険料負担が増える可能性があるため、注意が必要です。
また、均等割の軽減割合に変化があった人も、保険料負担が上がる可能性が高いです。所得の少ない世帯は、後期高齢者医療制度の保険料の均等割が軽減されます。軽減割合は7割・5割・2割の3つで、所得金額に応じて軽減割合が決定します。
なお2026・2027年度は、7割軽減に加えてさらに0.2割軽減することが可能とされています。東京都のように実施する広域連合では、医療分に限り軽減割合が7.2割となります。
例として、港区の軽減割合を見てみましょう。
- 7割:43万円+(年金または給与所得者の合計数−1)×10万円以下
- 5割:43万円+(年金または給与所得者の合計数−1)×10万円+31万円×(被保険者数)以下
- 2割:43万円+(年金または給与所得者の合計数−1)×10万円+57万円×(被保険者数)以下
所得が増えて軽減割合が変わったり、軽減の対象から外れたりすると、保険料負担は増えます。所得の増加以上に保険料負担を感じる場合もあるでしょう。
所得が高い人については、保険料の上限引き上げにも注意しましょう。2026年度は、保険料の上限が80万円から87万1000円(医療分85万円+子ども分2万1000円)に引き上げられました。昨年度に上限の80万円を支払っていた人は、所得によっては最大で7万1000円の負担増となります。
次章では、保険料負担が軽くなる人の条件を解説します。
4. 保険料負担が軽くなるのはどんな人?
保険料負担が軽くなる可能性があるのは、前年の所得が前々年より減った人です。一昨年になんらかの理由で一時的に所得が増え、昨年の所得が例年どおりに戻った人も、保険料負担は昨年度よりも軽くなります。
また、保険料負担が高くなる人と同様、均等割の軽減割合に変化があった人も保険料が軽くなる可能性があります。所得が少なく初めて軽減が適用された人や、軽減割合が増えた人などが対象です。
会社の健康保険などの被扶養者だった人にも軽減があります。港区の案内によると、後期高齢者医療制度の対象となった日の前日まで被用者保険の被扶養者だった人は、加入から2年を経過する月まで均等割額が5割軽減となり、所得割額は当面の間かかりません。国民健康保険や国保組合に加入していた人は対象になりません。
ただし、子ども・子育て支援金分の負担追加や保険料の全国平均上昇といった要因により、保険料が必ず軽くなるとは限りません。実際に納める保険料がいくらなのかは、後期高齢者医療制度の保険料額決定通知書で確かめておきましょう。
次章では、後期高齢者医療制度の保険料額決定通知書で確かめるべきポイントを解説します。