最低賃金がいくらなのかは、住んでいる都道府県によって違います。同じ仕事をしていても、下限の水準が変わるということです。

厚生労働省は毎年、都道府県ごとの地域別最低賃金を公表しています。令和7年度の一覧から、47都道府県の額と、そこにどれくらいの差があるのかを見ていきます。

全国加重平均は1,121円で、前年度から66円上がりました。そして令和7年度は、全47都道府県が1,000円以上になった年でもあります。

この記事の3つのポイント
  • 令和7年度の最低賃金は、全47都道府県で1,000円以上になりました。
  • 最高は東京都の1,226円、最低は高知県・宮崎県・沖縄県の1,023円で、差は203円です。
  • 引上げ額が大きかったのは額の低い県で、最大は熊本県の82円でした。

1. 全国加重平均は1,121円、前年度から66円上がりました

厚生労働省の「令和7年度地域別最低賃金全国一覧」によると、令和7年度の地域別最低賃金は全国加重平均で1,121円でした。改定前の1,055円から66円の引上げで、引上げ率は6.3%です。

地域別最低賃金は、都道府県ごとに定められる最低賃金です。パートやアルバイトを含め、その都道府県で働くすべての労働者に適用されます。

【図表1】令和7年度の都道府県別最低賃金1/2

【図表1】令和7年度の都道府県別最低賃金

各種資料をもとにLIMO編集部作成

全国加重平均の1,121円以上だったのは、東京都、神奈川県、大阪府、埼玉県、千葉県、愛知県、京都府の7都府県でした。残る40道県は平均を下回っています。

加重平均は労働者数を加味した平均です。労働者の多い都市部の額に引っ張られるため、単純に47都道府県の額を足して割った値とは違う点には注意が必要です。

2. 全都道府県が1,000円以上になりました

令和7年度の改定で、47都道府県すべての最低賃金が1,000円以上になりました。改定前の令和6年度に1,000円以上だったのは16都道府県で、残る31県は1,000円を下回っていました。

改定前で最も低かったのは秋田県の951円です。令和7年度は80円引き上げられて1,031円になりました。

3. 最高と最低の差は203円、最低額は3県が並びます

最も高いのは東京都の1,226円です。2位は神奈川県の1,225円で、その差は1円でした。3位は大阪府の1,177円です。

最も低いのは1,023円で、高知県、宮崎県、沖縄県の3県が同じ額で並んでいます。最低額は1県ではない点に注意が必要です。

最高額と最低額の差は203円で、最低額は最高額の83.4%にあたります。改定前は最高1,163円、最低951円で差は212円、比率は81.8%でした。差は9円縮まり、比率は81.8%から83.4%へと上がっています。

最高と最低の差203円という数字を最初に見たとき、時給の差としてはそれほど大きくないように感じました。ただ、これを働く時間に掛けると、印象がやや変わります。

1日8時間、月20日働くとして月160時間で計算すると、203円の差は月に3万2480円になります。あくまで単純計算で、実際の労働時間や手当は人によって違いますが、年に換算すれば40万円近い開きです。

もっとも、最低賃金は「これを下回ってはいけない」という下限を決めるものです。実際に支払われている賃金がその額どおりというわけではありません。それでも、下限の位置が都道府県で違うということ自体は、押さえておいてよい気がします。

では、その差は広がっているのでしょうか。
中沢 新

4. 引上げ額が大きかったのは、額の低い県でした

【図表2】引上げ額の上位10県と、引上げ額が最小の8都県2/2

【図表2】引上げ額の上位10県と、引上げ額が最小の8都県

各種資料をもとにLIMO編集部作成

引上げ額が最も大きかったのは熊本県の82円です。次いで大分県81円、秋田県80円、岩手県79円と続きます。上位10県はいずれも改定後の額が1,063円以下でした。

一方、引上げ額が最も小さかったのは63円で、埼玉県、東京都、神奈川県、長野県、静岡県、愛知県、滋賀県、大阪府の8都県が並びます。全国加重平均の引上げ額は66円でした。

額の水準が低い県ほど引上げ額が大きい、という重なりが見て取れます。ただし、これは一方が他方の原因であることを示すものではありません。引上げ額は、中央最低賃金審議会が示す目安をふまえ、都道府県ごとの審議会が決めています。

5. 発効日は都道府県によって違います

見落としやすいのが発効日です。同じ令和7年度の最低賃金でも、実際に適用が始まる日は都道府県によって違います。

  • 令和7年10月中に発効:20都道府県
  • 令和7年11月中に発効:13府県
  • 令和7年12月中に発効:8県
  • 令和8年1月に発効:4県
  • 令和8年3月に発効:2県

最も早いのは栃木県の令和7年10月1日、最も遅いのは秋田県の令和8年3月31日でした。同じ年度の改定でありながら、適用開始日には半年近い開きがあります。

自分の勤務先に適用される額を確かめるときは、金額だけでなく発効日もあわせて確認しておくと確実です。

6. 令和8年度の改定は、これから決まります

令和8年度の地域別最低賃金については、令和8年7月28日に中央最低賃金審議会が引上げ額の目安を答申しています。目安はAランク54円、Bランク56円、Cランク56円です。

仮に目安どおりに各都道府県で引上げが行われた場合、全国加重平均は1,176円となり、引上げ額は55円、引上げ率は4.9%になる計算です。

ただし、これはあくまで目安の答申です。実際の額は、この目安をふまえて各都道府県の地方最低賃金審議会が調査審議し、都道府県労働局長が決定します。この記事の執筆時点では、令和8年度の各都道府県の額はまだ確定していません。

7. まとめにかえて

令和7年度の地域別最低賃金を、都道府県別に見てきました。

  • 全国加重平均は1,121円で、前年度から66円(6.3%)の引上げでした
  • 全47都道府県が1,000円以上になり、改定前の16都道府県から大きく増えました
  • 最高は東京都の1,226円、最低は高知県・宮崎県・沖縄県の1,023円で差は203円です
  • 引上げ額は熊本県の82円が最大で、最小は東京都など8都県の63円でした

全都道府県が1,000円以上になった一方で、最高と最低には203円の差が残っています。額の低い県ほど引上げ額が大きく、差そのものは前年度より9円縮まりました。

最低賃金は毎年改定され、発効日も都道府県ごとに異なります。自分の勤務先に適用される額と時期は、厚生労働省の一覧か、都道府県労働局で確認してください。個別の賃金の扱いについては、勤務先の人事労務部門や労働局にご相談ください。

8. 【執筆者コメント】同じ年度でも、上がる日が違う

この一覧を見ていて、いちばん引っかかったのは金額ではなく発効日のほうでした。

私は群馬県に住んでいます。群馬の令和7年度の最低賃金は1,063円で、引上げ額は78円と大きいほうです。ただ発効日は令和8年3月1日で、10月に上がった県とは5か月ずれています。

47都道府県のうち、令和7年10月中に発効したのは20都道府県でした。残りは11月以降で、令和8年に入ってから発効した県も6県あります。最も遅い秋田県は令和8年3月31日です。同じ「令和7年度の最低賃金」でも、実際に適用が始まる日は半年近く違うということになります。

一覧表を眺めているだけだと、この差は目に入りません。私も、金額の列ばかり追いかけて、右端の発効日の列はしばらく見ていませんでした。

自分の県の額がいくらかと同じくらい、いつから適用されるのかも確かめておいたほうがよさそうです。どちらも厚生労働省の一覧に載っていますし、都道府県労働局でも確認できます。

参考資料

中沢 新